ナス農家に圧力、農協の独禁法違反認定…公取委 読売新聞
2017年03月30日 07時37分
農協以外にナスを出荷しないよう組合員の農家に不当な圧力をかけたとして、公正取引委員会は29日、「土佐あき農協」(高知県安芸市)の独占禁止法違反(不公正な取引方法)を認定し、再発防止を求める排除措置命令を出した。
発表などによると、同農協の組合員の一部は、「支部園芸部」と呼ばれる11の生産者組織としてナスの集出荷場を運営。複数の支部が2012~16年、農協以外の卸売業者へナスを出荷した農家を支部員から除名し、集出荷場を使わせなかったなどとされる。
また、同農協以外に出荷した農家からは、別ルートでの売り上げの一部を手数料名目で徴収。畑の広さごとに設定した出荷量を下回った場合は罰金を科し、手数料や罰金を農協の運営費に回していたともされる。
2017.04.05 農業協同組合新聞
【独禁法違反は遺憾】生産者代表が表明 JA土佐あき
JA土佐あき(高知県)が3月29日に公正取引委員会から排除措置命令を受けた問題について、JA土佐あき管内の園芸集出荷所場を利用している生産者組織(支部園芸部)の代表者は4月3日、「JA土佐あきから支部園芸部に指揮命令を受けることはなく、JA土佐あきから系統外出荷することを制限されたこともないにも関わらず、JA土佐あきが独占禁止法に違反したとされることは誠に遺憾」とする見解をJA土佐あきのホームページで公表した。
JA土佐あき管内の7つの支部園芸部の運営委員長を構成員とする本部園芸運営委員会の齊藤仁信会長は「公正取引委員会からの口頭注意について」と題する文書を発表し、「自分たちが行ってきたことの事実を明らかにしたいと思います」として、これまでの経緯と各支部園芸部の事業の実態や規約等について説明している。
同JA管内の支部園芸部とは、現在の総合農協が発足するより先に専門農協的に生産者が設立した組織で、平成10年に12JAの合併でJA土佐あきが発足したのちも、JAとは別個の組織として独立採算性で各集出荷場の運営を行ってきている。7つの支部それぞれに独自の規約を持ち、総会で事業方針などを決定する。
3日に発表した文書では支部園芸部のこうした位置づけを強調し、「今回の事件は、集出荷場の運営ルールは、われわれ農家が決定することであって、土佐あき農協から支部園芸部に対して、指揮命令を受けることはなく、ましてや、土佐あき農協から系統外出荷することを制限されたこともないにも関わらず、土佐あき農協が独占禁止法に違反したとされることは、誠に遺憾」と強調している。
一方、3月29日、7支部園芸部の運営委員長に対して公取は口頭注意を行った。注意事項については「真摯に受け止めたいと思いますが、これまでの報道を見る限り、事実と異なる点や誤解と思われる点が多々あるため、自分達が行ってきたことの事実......を明らかにしたい」と今回の発表意図を表明している。
文書では、各支部は集出荷場の運営経費(パート職員の人件費なども含む)や導入した機械の費用などを、JAに事務委託したり費用立替したりしてもらっているため、その支払い費用として支部員(生産者)は手数料を支払っており、「系統外出荷手数料」も集出荷場の維持・存続のために必要な費用が不足しないよう自主申告で集めていたもので、支払うかどうかも自由と説明している。
そのほか、公正取引委員会が罰金とした「反当徴収金」とは、JAに立て替えてもらった機械導入費用を支部員が負担していくときに、目標出荷量(=機械利用料)に満たない支部員の分が計画出荷している支部員にまで負担がかからないようにする、「機械利用料のキャンセル料というのが正確な意味で、系統外出荷を制限するためのルールではありません」と説明している。