西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

新・がん50人の勇気 柳田邦男著より

2007-08-21 | 色々な仮説や疑問
これも『文藝春秋』9月号よりの紹介、私の意義付けだ。評論家・柳田邦男さんが「新・がん50人の勇気」を書いている。副題に次のようにある。「死を前にした者にも遺される者にも運命を受容させる「物語」が必要なのだ」と。
つまり、死は、脳が働かなくなり、心臓が停止することであって、それ以上でも以下でもない、という自然科学的認識が問題なのである。本論で柳田さんは次のように言う。「科学の方法が科学者だけでなく医師、法律家、行政官など様々な専門家の考え方まで支配するようになった現代においては、科学主義が専門家の人間を見る目を偏狭なものにしてしまうという弊害ー科学や法律の論理で説明できないものを排除する弊害ーが日常的に見られるようになった。河合(隼雄)氏は、その弊害の根源を、自分と対象との関係を切断するという科学の方法によって切り捨てられた「関係性」の喪失にあると見抜いたのだ。人の心は「関係性」抜きではとらえることも語ることもできない。<人の心は物語らないとわからない>という(河合隼雄氏の)言葉には、人間が生きるうえで重要な「関係性」に注目して、人間をトータルに見る目を再生させようとするねらいがこめられているのだ。」と。「関係性」とは、私の言っている「人々とのつながり」であるに違いない。
それと、ここで私は「がんになって良かったですね」というブログを前に書いたことがあるのを思い出した。http://blog.goo.ne.jp/in0626/e/b8eb95e39ffeb306a1b5f50b08dee87d
人間は、死ぬ前にその残された時間に応じて自分らしい「物語」を創ることが、皆に認められた文化になったら良いなあ、としみじみ思った。それらが堆積して「心高ぶる物語」即ちHi-storyが織り成されていくのであろう。
(写真はノンフィクション作家・柳田邦男さん)

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