飼い猫の遠吠え

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道教と五千頭の龍が昇る聖天宮 (埼玉県坂戸市)

2021-12-21 00:49:58 | スポットなたしなみ
「道教」という宗教に関して、よくよく考えてみると学校で習った以上のことを知らない事に気が付きます。
中国台湾三大宗教(道教、儒教、仏教)の一つで、今は台湾や香港や華僑を中心に信仰されている・・・くらいでしょうか。他には、日本の宗教や修験道に教えというより風習や学問として受け継がれて日本に定着したことですかね。「風水」「陰陽」「八卦」「五行」など中国古来の考えをまとめ発展させたのは道教であると言えると思います。また、一時期、海外のエグゼクティブにTaoism (タオイズム)といった感じで受け入れられましたが、日本で言うところのZen (禅) と同じ流れかと思います。

日本で一般的に知られている道教としては、前述の思想以外では、何といっても「幽幻道士」と「キョンシー」でしょう。期せずして知らずに道教文化に触れていたのですが、いつの間にやら殆どの日本国民が知ることとなるのですから、エンターテイメントは強いです。他の有名どころでは、「西遊記」や「水滸伝」などは、道教要素が盛り込まれていますし、「三国志」では、太平道や五斗米道など道教宗派の反乱などが歴史上でありました。他に道教世界に触れる機会としては、中国明代に書かれたファンタジー小説(?)「封神演義」。1990年代にジャンプで連載されていた藤崎竜の「封神演義」によって、道教の世界観は、メジャーな存在となりました。他にも、今リバイバルアニメをやっている「シャーマンキング」もありますね。後は、最近のエンタメを牽引する陰陽道から、道教由来の単語が勝手に日本でメジャーになっていたりもしています。

儒教は、江戸時代には、儒学・朱子学として政治に結びつき、今でも孔子廟として知られる場所が数多くありますが、道教はといえば、日本で知っている人も多く無いように思います。自分も今回調べるまでは知りませんでしたので、なかなか知る機会は無いのかもしれません。一つは、中華街にある関帝廟と横浜媽祖廟、中華街ある異国情緒あふれる寺院として人気の観光名所ですが、中華街っぽい寺院としての認知度はあっても道教と結びつけて考える人も少ないと思います。もう一つは、大久保にある東京媽祖廟。こちらは場所柄、日本在住の中国系の方の祈りの場となっているようです。

そんな知っているようで何も知らない道教の日本最大のお宮が、埼玉県坂戸市にあるのです。その名も「五千頭の龍が昇る聖天宮(せいてんきゅう)」です。
いきなりゆかりも無さそうな異国のものが田舎(おっと失礼)に突然出来たと聞くと、山形の某道の駅のようなきな臭い感じが思い出されて心配になってしまいますが、埼玉県も坂戸市も公認の観光名所となっていますので、安心しても良さそうです。自分もあることは知っていましたが、海外宗教ものはちょっと・・・と敬遠していましたが、ついに訪問する機会がありましたので、ちょっと書いてみます。




前庭から前殿、埼玉でこの光景には驚きです



正面からド派手と言ってもいいような建物が待ち受けておりまして、思わずカメラを向けてしまいます。ただ、派手といってもただのエンタメ感だけな感じではなく、きちんとしたお宮としての威厳を感じます。拝観料は500円、JAF割引もあります。




石の彫刻の大きさと、石にこのような透かし彫りでの細かな細工をしていることに驚きです
見出しの龍なんて、1枚の石材から掘り出したというのですから、凄いですよね



巨大な扉には、守護者の像が掘られ、天井を見上げれば、何とも不可思議な彫刻で彩られています。終始キョロキョロしっぱなしです。
境内配置が昔の伽藍のようなのは、仏教も神社も文化的には中国から来ているためでしょうか。




似ているようでちょっと異なるおみくじには、小凶、中凶、大凶まであって、なかなかにスリリング



本殿に入ると、施設の方が説明をして下さったり、所々にある説明文を含めて道教というものの一端を知ることが出来ました。感想としては、宗教というよりも生活様式のような感じであり、道(タオ)を求めることからも日本で言うところの神道に近い感じに思えました。多神教で神様もいっぱいいるようですし。宗教法人とはいえ、それを押し付けることもなく、文化を知ってもらうことと、地域に根ざした形にしようとしていることも好感がもてました。週末は、施設前で太極拳を行ったり、当日もいましたが、中国系のコスプレの舞台として場所を提供するという度量の広さを持っていたり、有り難いことです。そういえば、解説の文字が読みやすいと感じましたが、日本語表記だけなのですよね。最近は、四か国語が必須のような風潮となっていて、その結果、文字が小さく場所を取るようになってしまっていて、見づらいと感じることが増えましたが、そのあたりも有り難かったです。



鼓楼からの眺め
五千頭の龍が描かれているという話ですが、屋根から装飾から数えきれないほどいることは確かです
日本では三本爪のイメージがありますが、五本爪の龍が本物だそうです(勉強になります)




お土産になる自販機コーナー
グアバジュースと悩みましたが甘い豆乳をチョイス
キャップを開けたら蓋が付いていたのは、文化の違いですね

他にもインスタント麺やインスタントビーフンが安価で提供中、ピータンもありますよ



結局、終了時間まで居ついてしまいました
こちらが天門、入口からして十分な貫禄です



当然、宗教施設ですので敬虔な気持ちを忘れてはいけませんが、埼玉にいながら、台湾にいるような観光気分が味わえるという不思議空間。海外旅行に行けない昨今、本物の異国体験に訪問してみてはいかがでしょう。


五千頭の龍が昇る聖天宮
住  所:埼玉県坂戸市塚越51-1
アクセス:東武東上線若葉駅からバスで「戸宮交差点前」下車徒歩3分
     関越道 鶴ヶ島IC・坂戸出口から3.5km、圏央道 坂戸ICから1.5km
拝観時間:10時~16時 (年中無休)
拝観料金:大人 500円 (JAF会員割引 450円)


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