第2回目は、ネット対局での実戦を振り返ります。
戦型は対抗系、戦法は▲7八銀型四間飛車(相手方)vs△左美濃急戦(自分)
当ブログの主旨(山田定跡をひたすら称賛すること)を考慮すると、心情的には後手番でも5七銀左急戦を採用したいところです。実際、山田先生の時代には後手番でも指されていました[1]。
しかし現代では、この戦法は後手番では無理とされています。その後の研究が進み、先手番でできる仕掛けが後手番ではできなくなったためです。
一方で、左美濃急戦であれば、先後関係なく同じ仕掛けが可能です。ただし、後手番では玉頭を攻められるタイミングが一手早いのでやはり苦しくはありますが。
それに、左美濃急戦の攻め方は5七銀左急戦のそれをアレンジしたものが多いという点[2]において、私の隠れたお気に入りでもあります。また、仕掛け方は同じでも中盤の攻め方が異なるため、一方を理解することは他方を理解することにも繋がります。
もし、山田定跡の基礎をなす哲学を大事にしたいなら、その技術的な部分は時代に即してアレンジしていくべきではないでしょうか[3]。
申し訳なくも前置きが長くなってしまいました。
△7二飛を見て相手方は角交換を挑んできたので、△4四歩でそれを拒否します。
もし鷺宮定跡なら、居飛車側から角交換して飛車取りに角を打つところです。
次に居飛車は7五歩で飛車先を切れるので、それを防ぐために▲6六角。
それを見て居飛車は6筋へ飛車を動かし、あくまで角頭を目標にします。
もし▲8四角の牽制なら、△8二飛により飛車先交換が確定して居飛車十分。
なので、相手方は▲3七桂と自陣に手を入れ、居飛車の攻めを待ちます。
その後は、△6四歩、▲同歩、△同銀、▲8四角、△6三飛、▲6五歩、△同銀、▲7七桂、△6七歩、▲同飛、△6六歩、▲7六銀と進みました。
HoneyWaffle WCSC28[4]によれば、ここまでで互いに疑問手は無しとのことです。既に50手ほどになっているので、初段レベルにしては健闘した方でしょうか。
そのあと大駒交換となって終盤の寄せ合いで一手負けしましたが、7八銀型四間飛車に対して中盤まで上手く指せたことは、一つの収穫でした。
【参考文献など】
[1]「四間飛車名局集」、日本将棋連盟、2016年
[2]田丸昇、「急戦左美濃戦法」、創元社、1988年
[3]カズオ・イシグロ著、土屋政雄訳、「日の名残り」、早川書房、p.26-32辺り、2001年
[4]渡辺光彦氏Webページ、https://note.com/honeywaffleshogi/n/nf5ea34e9b00b#29dc1524-1ef9-4e74-bcf3-1308018a5617、参照日2023年12月24日
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