渓の呼ぶ声・・・・

先週の平日

前日仕事に追われながら暮らし、夜遅くまで調べ事をしながら

明日は渓流へ行こうと強く思ったこの日・・・・

疲れも溜まっている。リフレッシュしたいと久々に強く思ったからだ。


頭の中には渓流がぼんやりと浮かんだまま、早起きをしようと強く想いながら眠りについた

当然雪シロで増水しているであろう事も気付いていたが、それ以上考える余力はなかった。



気付くと、早起きとは言えない時間

時刻通りになった目覚まし時計も無意識の内に消していた

気にしてもしょうがない。と、

時間を惜しみながらも現地へ向かった。


空には雲が広がっているものの、春らしさが感じられるこの日

目的の渓流は案の定、雪シロ特有のグリーン掛かった濁りに染まっていた。


目的地の渓流へ向かう車中、

ふと、とある渓流が頭をよぎった


結局、その渓で一日を過ごす事になるのだが、

その渓へ行くべくして行った様な気がする・・・・・



先行者がいる！！

駐車場でそう気付いた。

普段なら、場所を変える事も頭に浮かぶのだが

不思議と何の迷いも無く渓の流れへと足を踏み入れていた。



水温はそれほど高くはない

しかし、多数のカディスが飛び交っている



普段、釣りの事以外の事を考えながら釣りをしている事も多い僕。

この日は、渓の流れに溶け込む様に・・・・・

そして、渓と対話するかの様に・・・・・・

森と流れに抱かれながら身を任せていった



程なく釣り上がり、丁度１２時を回った頃

大型のメイフライがひらひらと舞い上がっていく

『 マエグロだ！！ 』　

陸上羽化のこの種、鱒には一体どれだけのアピールと影響を及ぼすのか？

ここぞという流れに、マエグロヒメフタオカゲロウを模したソラックスダンを投じる


この川で、何よりも大切な事は人的プレッシャーを極力与えないことだと気づく様になった

しかし、頭上にはフライが絡みそうな枝が張り出している

そこで身長が１８０センチを超える僕が多用する様になったのが、しゃがんでのキャスト

ヤマメの視界が最もフライフィッシャーを視認する事が多い、フライを加える寸前

その瞬間に僕の姿を消すべく


今日の僕は、身も心もちょっとだけ凄腕のフライフィッシャーのつもり・・・・


だったのだが・・・・・・






僕の視界に入って来たのは、上流から下ってくる釣り人の姿・・・・（泣）

終わった・・・・・と言う想いは、直ぐに打ち消された


右手には渓流竿をもっているそのおじさん

この渓流へ８年ぶりに来たと言う

『 どうでした？ 』と尋ねると

『 アタリが全くない 』との事。

ただ、表情には久々の美しい渓流で楽しんだ。という笑顔が見えた気がした。



餌釣りの方は、大抵静かに忍者の様にポイントを潰さずに釣りをする方が多い様な気がする。

川通しでしか進む事のできないこの渓で、餌釣りの方では中々難しい場合も多い事も知っている。


そのおじさんが下っていくと同時に再びしゃがみながらキャストを・・・・

マエグロの時間は短い。ポイントを休ませる時間はもったいない気がした。



そして、数投後・・・・

そのヤマメはフライを静かにゆっくりと銜えいていった

しゃがみながら水面近くで見たその光景は、何とも言えない

美しくて

ドラマティックで

心が沸き立つ様な一瞬・・・・・・

直ぐには、脳裏から離れなかった。






多くの釣り人同様に

自然に囲まれた山岳渓流が好きです

森があって美しい流れがあって・・・・・



名前は知らないけれど、美しい植物との出会い

普段の生活とは大きくかけ離れた景色との出会い

美しいヤマメや愛くるしいイワナとの出会い

そんな素晴らしい場所に集う方々との出会い




疲れた心と身体を癒してくれる場所

素晴らしい力、そして大きなパワーを持っているのでしょう

写真を撮りたいと言う気持ちも強く湧いてくるのは当然の事かもしれませんね。








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