ルイヴィトンのベルトカット依頼です。
国産のベルトはほとんどがフリーサイズで、簡単に短くできるようになっています。
が、こういった欧州のブランドはサイズ展開があるので、調整が簡単ではありません。
というか、そもそもピッタリサイズを購入するので、調整は想定された作りではありません。
それを調整するのですから、作業の難易度はそれなりに高いです。
まずはこのネジをはずすのが最初の難関です。
ときどき、ご自分で調整しようとマイナスドライバーで、ここをはずそうとするお客様がいらっしゃいます。
ハッキリ言って、お勧めしません。
このネジ、よく見てください。
ワッシャが入ってないです。
ネジはワッシャを入れないと必ず緩みます。
でもそれだと野暮ったいので、ワッシャを入れていないのです。
ではどうするか?
ネジを留める際に、ネジの固着剤が中に入ってます。
ルイヴィトンの場合は、特徴として、ちょっと塗り過ぎ?
まあ、はずなさいネジなので、塗り過ぎは無いのですが、がっちり留まっているものが多いです。
ここをマイナスドライバーで、しかもサイズがあやふやなものでこじ開けようとすると、ネジの頭を壊してしまい、最悪、もう2度とはずすことはできなくなります。
弊社ではこのネジ専用に改良したインパクトドライバーではずします。
これでダメそうなら壊してしまう前に諦めます。
そのことは事前に了承いただいてからの作業となります。
そのくらい、ここの難易度が高いのです。
ちなみにこのインパクトドライバーは、KTCというメーカーで、京都機械工具というメーカー製の確かなものです。
もちろん海外ではスナップオンとか素晴らしい工具メーカーもありますが、KTCは国産ではトップクラスの工具メーカーです。
ディスカウントストアで売っているような精度の低い代物ではありません。
そのビット(先端部)形状に独自の改良を加えて、このベルト専用に使ってます。
叩くと衝撃でネジを廻します。
なのでインパクトドライバーといいます。
叩かれて設置圧が最大の時に回転するので、ネジをナメにくいのです。
ほんとは鉄製のハンマー使いたいのですが、バックルが壊れるのでここはプラハンで加減してます。
ネジも真鍮でできているので、結構柔らかいのです。
鉄のネジを緩める感覚でやると、すぐにダメになります。
無事はずして、清掃しました。
さて、カットです。
安いものではないので、何度もメールを確認しながら寸法間違えが無いように、結構胃に来ます。
カットしました。
11センチカットです。
まれにご希望のサイズを切ると、ルイヴィトンのロゴが途中で切れてしまって偽物風になってしまうので、その際はご連絡して、ちょっとずらすなどのご相談をしています。
本物は決してロゴが途中まで見えてるようにならないのです。
このベルトの場合も、切られているのはロゴ部分ですが、ちゃんと隠れる場所ですよね。
糸がほつれないように処置しないとだめですね。
切りっぱなしだと糸がほつれてきてしまいます。
本当は縫う時に、1針戻して作るのですが、これは途中から切っているのでそういった処置ができません。
先端に細工して抜けないようにします。
ベルトの取り付け部分を手作業で作っていきます。
昔のルイヴィトンはこの部分に、補強が入ったモデルを見たことがあるのですが、最近は見かけなくなりました。
まあ、合皮の偽物では無いですから、革なのでそうそう切れませんしね。
もしかして、ここの部分が補強されていたのって、偽物だったのかも?
革じゃないから、すぐに切れちゃうので、ここを補強?
でも偽物がそこまで気遣いしているとも考えにくいですし・・・
なんだったのでしょう。
仕様が変わったということでしょうか。
あとはバックルに装着して、蓋をすれば完成です。
もちろんネジには固着剤塗って締めます。
できました。
きっちり11センチカットです。
修理受付は、メールかLINEで、画像送付の上、お申込みいただくようお願いしています。
修理依頼のお電話での問い合わせは、状態が確認できないので見積もり出来ません。
画像送付の無いまま実物を送って来られたもので修理できないものは、そのまま着払いで返品となります。
また、突然、持込でいらっしゃっられても、直せない、作れないものもありますので、必ず事前に画像を送ってからいらしてください。
おかげ様で毎月かなりの数の修理依頼をいただいております。
連日多忙のため、持込の場合は完全予約制とさせていただいております。
他のお客様の修理を途中で中断したくないのです。
ご理解、ご協力よろしくお願いします。
伊東金属製作所
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