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Williamというブランドのメンズベルトです。
イタリア製のようです。
京都からの修理依頼で、バックルが故障しています。
真ん中の心棒が折れてしまって、ネジが無くなってしまってます。
リバーシブルピンが付属してますから、なんとかこのピンを使えるように直したいです。
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ベルトの箔押しです。
メイドインイタリー、ミラノで1930年に創業ってことなのでしょうか?
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片面クロコ、片面スムース革なので、リバーシブルピンがうまく機能しないと、
両面使えないですね。
さて、修理してみます。
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元々はこういう状態なんですね。
ただ欠品もありますので、部品を作る必要があります。
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ここが折れてしまって、中にバネが入っていたのだと思われます。
真鍮で作られてるまともな作りです。
設計強度が不足していたのでしょうか。折れた部分は中空になっているので、
肉が薄い部分です。
ここから折れてます。
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真鍮パイプを使います。
長さを合わせて切断します。
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切断面は潰れてしまうので、少々長めにカットしてます。
この切断面を回転砥石を使って整えて、長さも調整します。
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軸になる真鍮パイプの出来上がりです。
3ミリの太さのパイプで中は2ミリになってます。
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2ミリの真鍮棒を通します。
バリを完全に取って、スムースに動くように磨きます。
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真鍮棒を少々長めに2本カット、残りはバネですね。
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こういう状態で、中からバネで押し出されて固定される仕組みです。
腕時計のバネ棒の仕組みですね。
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バネを手巻きで作ります。
バネ用の特殊合金です。
カッパー色に見えますが、銅線を丸めてもばねのように反発はしません。
主成分は銅ですが、いろいろ混ざった合金です。
結構高いんですよ。
キロ当たり5000円くらいします。
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バネを中へいれました。
最初は長めに調整して、徐々に長さをつめていきます。
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長さを調整して、ベルトへセットした状態です。
ピン棒を中へ押し込んだまま、ベルトへセットします。
この時に、向きとかいろいろ細心の注意をしないと、
失敗してしまうと切断するしか方法が無くなります。
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パチッ!っと穴へ入りました。
引っ張ってみてしっかり入っているかどうか確認です。
オッケーですね。
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リバーシブルピンもスムースに動きますので、両面使えます。
今回修理した部分はほとんどベルトの革に隠れてしまう部分なので、
修理したのもほとんどわからないくらいの仕上がりになってます。
有限会社伊東金属製作所
03-3886-6271
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