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サウルの息子

2016年06月28日 00時08分33秒 | 映画 さ行
評価:★★★☆【3.5点】




ホロコースト関連で最もシンプルで衝撃的作品…らしい。




1944年10月、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所。
ここに収容されているハンガリー系ユダヤ人のサウルは、
同胞をガス室へと送り込み、その死体処理も行う
“ゾンダーコマンド”として働いていた。
ある日、ガス室でまだ息のある少年を発見する。
結局亡くなってしまったその少年を、サウルは自分の息子と思い込む。
そしてナチスの監視の目を盗み、ユダヤ教の教義にのっとった
正しい埋葬で弔ってあげようと決意するのだったが…。
<allcinema>



【ネタバレしてます。要注意】



ひとりのユダヤ人目線を通じ、狂気と化した日常に生きるうち
人として正しくありたいと思い懸命に疾走する男の物語である。

今回、“ゾンダー・コマンド”として同じユダヤの人々を
ガス室に送る死体処理係の強制労働を強いられていたサウル。
そういった任務を与えられてはいたものの
自分らも、数か月後には殺される使い捨て要員であった。

その頃、ゾンダー・コマンドの中で脱走計画が密かに練られていく。

ある日、ガス室に微かに息のある少年を偶然見つけたサウルは
脱走よりもその少年をユダヤ教に準拠した方法で
祀ろうと必死で準備するが、そこにはナチスの監視の目が。

混乱している収容所内でラビ(聖職者)を探すのも大変だが
死体となった少年を隠す行為もこれまた大変^^;

最終的にもう少しで埋葬という段階で
無情にもナチスの追っ手に見つかってしまう。
そして、直後に数発の乾いた銃声音が森の中に響き渡るのだった。

ラストは見せません。
見せないから、彼らの状況が手に取るようにイメージできる。
見せない演出法の成功例としてまたひとつ作品が加わりました。

こういう映画を観るとナチス・ドイツ一連の残虐行為に対し
ホントに胸糞が悪くなるし絶対に許されることではない。ということで^^



【今週のツッコミ】
・先日『帰って来たヒトラー』見たばかりなのに
 これがヒトラーの行ってきた現実であり、先の映画で笑ってはいられない。

・舞台となったアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所の
 ガス虐殺に用いたガスは害虫駆除用のモノだったらしい。

・捕虜収容所に入ってくる捕虜に対し「シャワーのあとに食事だ」と騙し
 密閉された部屋で全裸で殺虫剤を浴びせていた。
 そのため、死体の周りに嘔吐物だらけだったわけだ。

・少年の死後硬直がないことは突っ込まないで(笑)

・劇中、一切の効果音楽を排し、また手前の被写体以外
 すべてにボカシを入れたことで中心が一層強調される効果がある。
 ワタシ的にはこの演出法のどこが凄いのかよく分からなかった。
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監督:ネメシュ・ラースロー
脚本:ネメシュ・ラースロー/クララ・ロワイエ/
音楽:メリシュ・ラースロー


出演:ルーリグ・ゲーザ/モルナール・レヴェンテ/ユルス・レチン/トッド・シャルモン/



『サウルの息子』



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6 コメント

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クドカンの (笛吹働爺)
2016-06-30 22:04:31
Too Young to die を見ました。☆3.5
まぁ、舞台を地獄に設定したおふざけロック映画というところか。
それにしては出演俳優陣がすごい。ちょっとしか出てないけれど。
Char、ローリー、マーティー・フリードマン、宮沢りえ・・・。
返信する
笛吹働爺さんへ (ituka)
2016-06-30 23:47:36
地獄ロックご覧になったのですね。
ワタシは、端からスルー決定映画でしたよ^^;
なるほど!出演俳優が豪華なんですね。

>Char、ローリー、マーティー・フリードマン、宮沢りえ・・・。

なかなかバラエティに富んだというか、懐かしい面々も出てたんですね。
返信する
Unknown (ふじき78)
2016-07-03 06:40:19
強制収容所ものの映画っていろいろあるけど、こんなに納期ギリギリみたいに効率一辺倒で殺されてるのを見たのは初めて。薪をくべるようにジャンジャン殺されてくのが衝撃でした。

という映画もあれば、地獄へようこそという映画もあるから映画は奥深い。地獄へようこそはちょっとダレる所もあるけど、それなりに魅力的。魅力的だけどユダヤ人には行ってほしくない。仏教徒じゃないから行かないと思うけど。
返信する
ふじき78さんへ (ituka)
2016-07-03 08:27:30
主人公目線からするとユダヤ人のロット処理はあんな感じなんでしょうね。
毎日行われているうち感覚がマヒしていくのかも(笑)
でも、主人公自身ユダヤだし任務を与えられた時点で「これで薪にならないぜ」と安心してたかもしれませんね^^;

地獄へようこそ中だるみあるけど楽しそうですね(笑)
たぶん観に行かないけど。。。
返信する
死後硬直 (ami)
2016-07-05 19:15:51
実は私も凄く気になってました(笑)

とことん"主観"にこだわりつつも一切の感情を排し、
見せないこと、語らないことにより、
一層本質を際立たせていることが
"ホロコースト関連で最もシンプルで衝撃的作品"
と言われる所以なのではないでしょうか。
返信する
amiさんへ (ituka)
2016-07-05 21:22:36
映画というのはアイデア次第でまだまだ新たな発見がありそうですね。
予算が少なくて知恵と工夫で勝負してくる作品こそ
本当に面白いものが多い気がします。
今回の主観撮影もまったく新しい方法でしたし
どこぞの(←どこだよ)映画祭でグランプリ受賞したんですね。

>見せないこと、語らないこと

これをしっかり最後まで貫き通した監督さんの勇気が凄い!
まるで見てる自分らが現場にいるようで緊張感がヤバすぎでした。
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