隠し砦の三悪人（平成版）

評価★★★★


長澤まさみの雪姫は予想以上に凛々しくて個人的には及第点だ。


その余りの凛々しさに劇中のとあるシーンで
ホロリと来てしまったことが不覚であった（評価の★の追加元となる）


黒澤監督のオリジナルと比較してはいけません。

この映画は主人公が真壁六郎太から
農民の武蔵（松本潤）に変わっています。

言うなれば、オリジナルの太平（千秋実）の視点から
描いた映画ということになるのでしょう。

いや、誰と誰を比較する映画ではないのです。

リメイクしたと言うより脚本とキャラクターの一部を
お借りした映画と思えば腹も立ちません。

完全な別物という見方でいけば
なかなか面白かったと思います。

ただ、やたらに火薬を使ってスクリーンに
迫力を出そうというやり方には反対ですね。
ハリウッドと比べ、CG処理が雲低の差であることが辛い。

馬上の殺陣のシーンにもCG処理をするという
安易な発想はもうやめてもらいたい。
作品レベルを落としてしまうだけです。


オリジナルもそうでしたが
やっぱり、雪姫というキャラクターが
いちばんの魅力でしたね。
と、言っても“火祭り”までの薄汚れた男装が良かったんですが。

本作では
オリジナル映画でしっかり勉強したという長澤まさみ。
いままでの彼女とは思えないくらい魅力があって
このひと、こういうキャラクターやらせたら
案外と大当たりするのではないかと思ったほどです。

『戦国自衛隊』で薬師丸ひろ子を初めて見たときの
“胸キュン”に近いものを感じましたね。

それから、新八（宮川大輔）が思いのほか演技が上手いと思いました。
台詞はアドリブで言っているんでは？と思うほど自然で
気弱でボケたところなんか最高なんです。
これは、オリジナルの又七（藤原釜足）の扱いでよろしいんでしょうね。

でも、武蔵があまりにも活躍しすぎて
トホホコンビのキャラクターになっていないのがチョット魅力半減だ。
そのため、真壁六郎太＝三船（阿部寛）が生きてこないのが
なんとも物足らない作品となってしまった訳で・・・。

全体のストーリーを見ると評価は★2個の落第点なのだが、
長澤雪姫が思いのほか嵌っていたので予想外の及第点になった次第です。


おまけ）
“裏切り御免！”の台詞の使い処にガッカリした。
余りの重みの無さに、それは違うだろう！なのである。


こういった機会に
オリジナルを未見の方は、是非観て貰いたいと思います。
A級サスペンスのストーリー展開と合間に見せるコミカルなシーン
そして、本物の殺陣アクションとド迫力の重量感は
黒澤映画のなかでも5本の指に入ると思っている管理人であります。

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監督：樋口真嗣
脚本：中島かずき
撮影：江原祥二
音楽：佐藤直紀


出演：松本潤/長澤まさみ/阿部寛/宮川大輔/椎名桔平/高嶋政宏



『隠し砦の三悪人』