満足度:★★★☆【3.5点】
暗転からしばらく始まらない本編。
◆
アウシュヴィッツ収容所と壁ひとつ隔てた隣に暮らす一組の家族を主人公に、
その穏やかで幸せな日常を淡々と描きつつ、
かすかに漏れ聞こえてくる音や家族の会話などから、収容所のおぞましい実態と
そのことに無関心で優雅な暮らしを謳歌していく家族の実像を
鮮烈に浮かび上がらせていく。
<allcinema>
◆
この家庭は、朝の穏やかな会話から一見和やかな雰囲気が漂っていて
まあ、分かり易く言えば富裕層になったサザエさん一家みたいな感覚でしょうか。
旦那さんは髪型から地位のある人(苦笑)と分かる。
一家の主はアウシュヴィッツ収容所所長であり、幹部会議で新型の焼却炉の
設備搬入を検討し、連続で400から500、一度に1000体は焼却できるなどと言っている。
もう、この辺りから塀の中で日夜行われている行為を想像してしまい
とても聞いていられず拒絶反応のような感覚を覚えてしまう。
だが、家には複数の家事使用人もいて妻や子供は普通に幸せな生活を満喫している。
塀の向こうからは乾いた銃声音や悲鳴、泣く声が壁ごしに聞こえ
収容所の煙突から立ち昇る煙も、彼らの窓からはっきりと見えているのです。
それでも、彼らは無関心でいて、平穏で優雅な日常を楽しんでおり
彼らは収容所の虐待や殺戮について口にすることはなく自らの幸福を追求しているだけ。
映画自体は一家の生活を淡々と追っているだけで塀の中は一切映さないし
事件など何も起こらないので鑑賞者のこちら側が勝手に塀を隔てて
天国と地獄をイメージしている感覚です。
でも、ラスト10分はアウシュヴィッツ収容所の清掃員の背後から追うカメラに
息を呑むことになる!!!!!
これってアカデミー賞外国語映画賞と音響賞受賞したんですよね。
◆
【今週のひと言】
・全般的に流れる不協和音がサイコパスっぽく、言い知れぬ恐怖を醸し出す。
・ひとりのユダヤ人少女が深夜にアウシュヴィッツ収容所にいる捕虜たちに向け
リンゴを置き配するシーンが2回とも暗視カメラ映像というその意図とは...
・夜、父親が「ヘンゼルとグレーテル」の絵本を子供に読み聞かせ
「魔女は生きたまま焼却炉で焼かれたとさ」(←って、洗脳かよ)
・優雅に暮らす娘を頼って豪邸に訪れた母親がみせた反応こそ普通の感覚でしょう。
日夜繰り返される銃声や悲鳴、夜に赤々と煙が立ち上る煙突を部屋から見てしまう。
そのまま無言で帰ってしまった母親の行動が理解できないウマシカ娘。
・あの女性はアウシュヴィッツ収容所からのデリヘル係?家事使用人の誰か?
説明ないし塀の中見せないし(笑)
・ある意味、ドキュメンタリーテイストであり無反応の恐怖が倍増してくる。
・アウシュヴィッツ博物館(?)山のように積まれた無数の靴に言葉を失う。
------------------------------------------------------------------------------------------------------
監督:ジョナサン・グレイザー
脚本:ジョナサン・グレイザー
音楽:ミカ・レヴィ
出演:クリスティアン・フリーデル、ザンドラ・ヒュラー、ラルフ・ハーフォース
『関心領域』
暗転からしばらく始まらない本編。
◆
アウシュヴィッツ収容所と壁ひとつ隔てた隣に暮らす一組の家族を主人公に、
その穏やかで幸せな日常を淡々と描きつつ、
かすかに漏れ聞こえてくる音や家族の会話などから、収容所のおぞましい実態と
そのことに無関心で優雅な暮らしを謳歌していく家族の実像を
鮮烈に浮かび上がらせていく。
<allcinema>
◆
この家庭は、朝の穏やかな会話から一見和やかな雰囲気が漂っていて
まあ、分かり易く言えば富裕層になったサザエさん一家みたいな感覚でしょうか。
旦那さんは髪型から地位のある人(苦笑)と分かる。
一家の主はアウシュヴィッツ収容所所長であり、幹部会議で新型の焼却炉の
設備搬入を検討し、連続で400から500、一度に1000体は焼却できるなどと言っている。
もう、この辺りから塀の中で日夜行われている行為を想像してしまい
とても聞いていられず拒絶反応のような感覚を覚えてしまう。
だが、家には複数の家事使用人もいて妻や子供は普通に幸せな生活を満喫している。
塀の向こうからは乾いた銃声音や悲鳴、泣く声が壁ごしに聞こえ
収容所の煙突から立ち昇る煙も、彼らの窓からはっきりと見えているのです。
それでも、彼らは無関心でいて、平穏で優雅な日常を楽しんでおり
彼らは収容所の虐待や殺戮について口にすることはなく自らの幸福を追求しているだけ。
映画自体は一家の生活を淡々と追っているだけで塀の中は一切映さないし
事件など何も起こらないので鑑賞者のこちら側が勝手に塀を隔てて
天国と地獄をイメージしている感覚です。
でも、ラスト10分はアウシュヴィッツ収容所の清掃員の背後から追うカメラに
息を呑むことになる!!!!!
これってアカデミー賞外国語映画賞と音響賞受賞したんですよね。
◆
【今週のひと言】
・全般的に流れる不協和音がサイコパスっぽく、言い知れぬ恐怖を醸し出す。
・ひとりのユダヤ人少女が深夜にアウシュヴィッツ収容所にいる捕虜たちに向け
リンゴを置き配するシーンが2回とも暗視カメラ映像というその意図とは...
・夜、父親が「ヘンゼルとグレーテル」の絵本を子供に読み聞かせ
「魔女は生きたまま焼却炉で焼かれたとさ」(←って、洗脳かよ)
・優雅に暮らす娘を頼って豪邸に訪れた母親がみせた反応こそ普通の感覚でしょう。
日夜繰り返される銃声や悲鳴、夜に赤々と煙が立ち上る煙突を部屋から見てしまう。
そのまま無言で帰ってしまった母親の行動が理解できないウマシカ娘。
・あの女性はアウシュヴィッツ収容所からのデリヘル係?家事使用人の誰か?
説明ないし塀の中見せないし(笑)
・ある意味、ドキュメンタリーテイストであり無反応の恐怖が倍増してくる。
・アウシュヴィッツ博物館(?)山のように積まれた無数の靴に言葉を失う。
------------------------------------------------------------------------------------------------------
監督:ジョナサン・グレイザー
脚本:ジョナサン・グレイザー
音楽:ミカ・レヴィ
出演:クリスティアン・フリーデル、ザンドラ・ヒュラー、ラルフ・ハーフォース
『関心領域』
久方ぶりのご訪問になりますので、いくつかコメント入れさせていただきますね。お覚悟あそばせ(笑)
本作、とにかくBGM?効果音?流れている効果が絶大でした。不愉快で不穏なのに、当事者が全くそれを意に介さない(ようにしている)ところとある意味マッチしている。こっちは不快なんだよぉ~!と叫びたくなります。ただ平気で「日常生活」を送っているだけという異常さ。
渦中に居ると麻痺して案外こういう風になってしまうのかもしれない…というのが、とても恐ろしいことだと思いました。
アウシュヴィッツ収容を描いた作品が多い中、こういう感じで表現するのもアリなんだな~と思いました。
オープニングからいきなりの不協和音に映画から語られるであろう内容が想像できましたよね。
にしても、彼らにとってユダヤ人の命は虫けら同然であり、そこの感覚を日常生活で表現して、この異常さにまったく気づかないことに恐ろしくなりました。
唯一、妻の母がとった行動があったから救われた気分になったのかもしれません。