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ミケマル的 本の虫な日々

『ねじまき鳥クロニクル』 第1部 その2


 村上春樹再読 『ねじまき鳥クロニクル』

 再読と言っても、相当前に読んだのでほとんど内容を忘れていました!
なので、断片的な「井戸」とか「ノモンハン」とかのイメージ以外はほとんど初読と同様なので、改めて楽しめました。
早く次が読みたいと思ってどんどん読んでしまうのだけど、読み終わるとあれはなんだったんだろう?とか、これとあれは関係あるんだろうか?とか、疑問がたくさん出てくるのが村上さんの本。
いつも、読み終わって放心して終了だったので、今回の再読ではもう一度メモを見ながら振り返ってみるということをやっています。


 さて、第1部 泥棒かささぎ編 の2回目

1回目は昨日書きました

 今回もネタバレしてますのでご注意ください。

 ねじまき鳥の全体の大きなテーマは、大雑把にいうと僕とクミコの夫婦の問題と綿谷ノボルとの戦いということかと思います。
そこにはクミコの生い立ちが大きく関連していています。
第1部ではクミコの特殊な実家の事情が書かれています。
地方から出てきた秀才の父は選民意識を持った鼻持ちならない人物であり、母はそれに従いつつ虚栄心が強い人。
ここまでは良くあるタイプとも言えます。
クミコには9歳上の兄(綿谷ノボル)と5歳上の姉がいるのだけど、幼児期(3歳から6歳まで)を父の実家で祖母に育てられました。

 クミコは実家に戻ってから馴染めなかったけれど、姉だけは親身に世話をしてくれた。しかし、その姉はクミコが実家に戻ってから1年目、12歳くらいで死んでしまう。
(食中毒でということになっています)
そのために、幼い頃からクミコはさらに家族に対して心を開けない状態だったようです。
僕はそんなクミコの事情を知って、これからは二人で新しい家庭を作っていこうと。
クミコの父母は僕との結婚に反対だったけれど、信頼している占い師の本田さんが強く薦めてくれたので結婚を承諾したのだった。
このへんから大変なだけでなく、普通でない感じが漂ってきます。
兄の綿谷ノボルはこの時点では無関心のように見えた。

 この本田さんがまず謎の人。
月に1回この耳の遠い御老人のところに夫婦で通うように言われて1年間通ったのだけど、この方が戦争中のノモンハンでの戦いの事を何回も話す。
ここでノモンハンが出てきた(私が覚えてたキーワードその2)
そして、この方が
「上に行くべき時は一番高い塔を見つけててっぺんに登ればいい。下に行くべき時には一番深い井戸を見つけてその底に降りればいい」
「あなたは水には気をつけた方がいい」
「流れがない時はジッとしていればよい。流れに逆らえば全てがかれて、この世は闇になる。待たねばならない時は待たねばならない」
 などの不思議なアドバイス?を呟くのでした。
ここで井戸も出てきました(覚えていたキーワードその1)
本田さんが最初からこの二つのキーワードを出していたのですね。
そして、この後「水」もキーワードになってきます。

 さて、猫を探すためにクミコがその行方を探ってもらうために加納マルタという女性に相談。
僕は加納マルタに会うのですが、このマルタさんがまた謎の人。
色々な事を予見する能力があって、マルタ島の霊水を飲んでさらに体の組成について知るようになったらしい?
水が大切らしい。
この人を紹介したのはなんと綿谷ノボル。
クミコさんの家はこういう霊感のある人に詳しいらしい?
さらにマルタさんの妹のクレタさんも登場!
クレタさんも相当な謎の人なのだった。

 僕は家の裏の路地の奥にある空き家に猫を探しに行く。そこで路地沿いに住むだいぶ変わった中学生の笠原メイと会う。
その空き家には枯れた井戸があると教えてくれる。井戸!
猫のことを聞くうちに色々と話すようになるのですが、彼女も問題を抱えているよう。

 さらに謎の女性からの電話が何回もかかってくる。
電話の女性はテレフォンセックスのような事を言うのだけど、あなたの事を良く知っているし、あなたも私のことを知っているのよと言うのだった。
僕は困惑して電話を切ってしまう。
その後もかかってくるので、取りたくないと思って無視してしまうことも。
この辺の電話の描写は固定電話で電話番号も表示されない頃の感じを思い出しました。
今じゃ誰からかかってきたか即座にわかるものね(表示が出ない時は取らない世の中になってるし)

 第1部はこんな感じで、クミコの生い立ち、僕とクミコの生活が僕の失業や猫の不在によって色々と変化が始まった事、それによって生じた謎の女性たちとの出会い。
さらに本田さんとの話について。
まだ大きな事件は起きずに、これからどうなっていくのかしら?という疑問渦巻く感じです。
これから起こる色々なことの元となる要素が色々と提示されているとも言えるかな。
色々な謎の人が登場してきて散漫になりそうなのに、そうならないのが村上さんの凄いところとも思います。

 最後に本田さんが亡くなった後にそのかたみについて間宮徳太郎から手紙が来て会います。
間宮さんは本田さんと外蒙古の国境地帯での作戦で一緒だった話をするのですが、そこにはとても残酷な描写があって、そこを私は覚えていたんだな〜。
その頃から本田さんは特殊な予知能力を持っていたため、間宮さんは本田さんに井戸の底から助けられたと。
しかし、過酷な体験によって、生きて帰ってきたのに抜け殻の心と抜け殻の肉体のみになってしまって、人生を失ったと。
持ってきてくれたかたみの箱の中身は空っぽだったのでした。

 最後まで読んでくださってありがとうございました。
第1部のあらすじを書くだけになってしまいましたが、結構疲れたです(笑)



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