沖縄・台湾友の会

《台湾に興味のある方》《台湾を愛する方》《不治の病・台湾病を患ってしまった方》皆んなで色々語り合いたいものです。

中国で19人の科学者が12月に連続死していた   アカデミズム、とりわけ軍事技術は開発が停滞するか?

2023-01-03 21:49:50 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)1月3日(火曜日)
       通巻第7576号  
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 中国で19人の科学者が12月に連続死していた
  アカデミズム、とりわけ軍事技術は開発が停滞するか?
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中国の学術研究機関(中国科学院、中国工程院)でシニアフェローなど19人が12月に死亡していた。
12月に武漢肺炎で死亡した中国人は英国エアフィニティの調べで11万人。科学者たちの死因はコロナとは発表されておらず、いずれも「病死」だった。

 中国の公式記事によると、12月15日から12月26日までの12日間で、中国科学院の13人が死亡した。なかには光ファイバー通信の Zhao Zisen (91)、環境工学および
環境水質の専門家Tang Hongxiao (91)、希土類金属の製錬および分離の専門家Zhang Guocheng (91)、レーザー技術の専門家である Zhao Yijun (92)、金属材料の専門家Gu Zhenan (86)、土木工学および構造力学の専門家Long Yuqiu (96)、生態学者および森林学者Li Wenhua (90)、野生生物科学者Ma Jianzhang (86)、小児外科専門医Zhang Jinzhe (102)、機械専門家Wang Zhongqi (90)、清華大学建築家兼教授Guan Zhaoye (93)、航空宇宙製造工学の溶接専門家Guan Qiao (87)、石油工学専門家Li Qingzhong (92)。
いずれも高齢で老衰にウィルス感染があれば、即死だったかも。

 中国工程院関係では自動制御とダイナミクスの専門家で清華大学の教授Lu Qiang (86) 。Zhang Youshang (97)、中国の生化学者で上海薬科大学の元所長である 江花梁(57)。Wu Chengkang (93)は高温ガス専門。 Tong Tanjun (88)は医学者。そして物理学者で清華大学の教授のHuang Kezhi (95)。いずれも高齢者で、例外は江花梁氏だけが五十代だった。

 ただしこうした科学者は現代中国の軍事技術の発展に寄与したものの已に現場をはなれており兵器開発に遅れがでることはないだろう。

習近平、社会主義は米資本主義に勝つ 櫻井よしこ

2023-01-03 21:12:31 | 日記
わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6369号 

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習近平、社会主義は米資本主義に勝つ
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           櫻井よしこ

日本ルネッサンス 第1029回

戦略的に見てこれ以上のタイミングはなかっただろう。臨時国会閉幕の12月10日、萩生田光一自民党政調会長が台湾を訪問した件だ。与党三役としては19年ぶりで、台湾の平和と安定を重視する日本の決意を内外に示した。中国には強い抑止力となったはずだ。

安倍晋三元総理の暗殺以降、台湾に芽生えた心細さ、誰が日台関係強化の推進軸となってくれるのかという蔡英文総統以下、台湾人の懸念も払拭されたことだろう。蔡氏との会談では、「日台連携の強化」「力による現状変更は認めない」「台湾の環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟推進」「半導体分野での協力加速」などで合意がなされた。会談後に萩生田氏は、日台は同じ危機感を共有すると語って、中国の脅威に共に備える強い思いも確認された。産経新聞の台北支局長、矢板明夫氏が語った。

「萩生田氏は日台関係強化に向けたフォーラムでも基調講演をし、安倍元総理同様大いに台湾人を勇気づけたと思います。台湾人は安倍総理が大好きで台湾重視の姿勢に本当に感謝しています。でも、それ以上に、政権中枢にいる現役の実力者の訪問を重く受けとめています。蔡氏は『萩生田氏の下、安倍氏の台日友好の信念が必ずや引き継がれると信じている』と語ったのですが、萩生田氏を安倍総理の有力な後継者と見ている人も多いと思います」

習近平国家主席の歴史観や世界戦略を知れば、台湾防護は日本国と世界の自由主義陣営防護と同義だと思い知らされる。中国が台湾を制覇すれば、日米のみならず全世界が危機に陥る。習氏の凄まじいまでの米国への憎悪については後述するが、日本は壮大な米中対立の価値観のぶつかり合いの最前線に立っている。

10月の中国共産党大会で習氏は誰一人反対できない最強の権力基盤を築いた。常務委員会(最高指導部)も政治局も、中央軍事委員会も徹頭徹尾、「イエスマン」で占められた。習氏は人類運命共同体、グローバル安全保障イニシアチブ、一帯一路などのスローガンを掲げるが、それは国連を主軸にして自由と民主主義を守ってきた戦後体制を根底から覆し、中華の価値観と中国主導の新秩序を打ち立てて世界を一変させるという意味だ。

暗くておぞましい野望

トランプ政権で大統領副補佐官を務めたマット・ポッティンジャー氏らが習氏の目指す世界について「フォーリン・アフェアーズ」誌(11月30日)で鋭く分析した。元「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)紙の北京特派員だった氏は習氏の演説や発言を中国語で丁寧に読み通している。ポッティンジャー氏は、習演説は全文ではなく、世界に知られたくない中国の本音や本心を省いて公表されると指摘する。

元々中国共産党の文献は冗長で無味乾燥な常套句が繰り返されるために、読み通すのは苦痛である。西側で最も優れた中国研究者の一人とされているシモン・レイ氏が中国共産党の文献読破は「バケツ一杯のオガクズを呑み込むような作業だ」と語ったエピソードを、ポッティンジャー氏が紹介しているほどだ。

それほどに面白くない文書から、最も知りたい中国共産党の本音や意図は省かれている。読むのは更に退屈で苦痛だ。どんなに熱心な記者や研究者でも中国の真意と企みに気がつかない仕組みと言ってよい。

中国共産党が隠したい暗くておぞましい野望は、数か月後或いは数年後に、原文にそっと挿入され公表されてきたが、西側の記者や研究者は、過去の文書がこんな形でいじられていることを見抜けない。従って公表されても中国の邪悪な企みに気づかずにいるというのだ。

習氏の考え方を知るには彼の歴史に対する見方を知ることから始めなければならない。プーチン露大統領が20世紀最大の地政学的悲劇と語った旧ソ連崩壊が、習氏にどんな影響を与え、中国共産党指導部の政策決定をどのように揺り動かしたかを見る必要がある。

この点について、2012年12月、習氏は広東省における非公開の会議で「ソ連崩壊は我々にとって重大な教訓だ。ソ連とソ連共産党の歴史を忘れること、レーニン、スターリンを忘れること、その他全てを忘れることは歴史のニヒリズムに陥ることで、我々の思想が混乱し、全てのレベルで党組織が弱体化することだ」と警告した。

右の演説で「旧ソ連崩壊を止めるために立ち上がった男はいなかったのか!」と習氏が憤ったことはこれまでにも報じられてきたが、より重要なのは、ソ連崩壊はソ連が「独裁政権を支える道具立て」を欠いていたからだという習氏の指摘だ。

「国を滅ぼすことも躊躇するな」

ソ連では軍は共産党ではなく政府、つまり国に所属していた。それゆえにソ連共産党は軍を介入させてソ連崩壊を止めることができなかった。中国の人民解放軍は政府でなく党に所属する。習氏は中国共産党中央委員会総書記、また中央軍事委員会の主席だ。習氏一人が党を支配し、軍を支配する。習氏をはじめ歴代の中国共産党政権は大衆の反乱や下からの革命を最も恐れている。だからこそ習氏は「独裁政権の道具立て」としての軍、世界第二の規模を誇る人民解放軍を完璧に自らの支配下に置き、誰も逆らえない体制を作り上げているのだ。

13年1月の就任演説ともいうべき演説は6年間も公開されなかったとポッティンジャー氏は指摘する。この中で習氏はマルクス・エンゲルスの理論の正しさを主張し、資本主義は滅亡し社会主義が勝利する、それが歴史の必然で回避はできないと語り、米国憎悪の姿勢を隠さない。但し、社会主義勝利に至る道には曲折があり、目標達成には長い時間がかかるとも語っている。この長い時間において中国共産党は鉄のルールで規律を強め、集中力を発揮して党の支配を維持し強化せよというのが、10月の党大会で習氏が強調した点だ。

習氏は人類運命共同体の考えを内外で強調してきた。人類全体が中国共産党の価値観に基づいた秩序の中で「ウィンウィン」の関係で暮らすという考えだ。
中国共産党の価値観に染まって暮らすなど、日本人にとっては真っ平ご免であろう。他ならぬ習氏も「中国の考えと社会制度は基本的に西側社会のそれと合わない」と認めている。その上で「我々と西側のせめぎ合いから生まれる苦しみと戦いは和解不可能で、複雑で長期にわたって先鋭化する」と断じている。毛沢東に倣って「新国家建設のためにはその国を滅ぼすことも躊躇するな」とも語っている。プーチン氏のウクライナ侵略戦争を決して非難しない習氏らしい発言だ。

わが国が中国に対する構えを全力で強化すべきなのは明らかだ。国の安全が危うい今、あらゆる手段を講じて軍事力強化に邁進するのが岸田文雄首相の責任だ。


トランプ前大統領、共和党候補になれないなら新党結成か    共和党保守陣営は「それでもトランプを支持する」

2023-01-03 21:08:51 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)1月2日(月曜日)
       通巻第7575号  (前日発行)
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 トランプ前大統領、共和党候補になれないなら新党結成か
   共和党保守陣営は「それでもトランプを支持する」
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USA Todayと「サフォーク大学」が12月第四週に行った世論調査によると、共和党有権者はトランプ前大統領よりフロリダ州知事のロン・デサンティスを56対33の差で支持している結果がでた。

『アメリカ グレートネス』という保守系オピニオン誌にトランプ側近が寄稿し、「もし2024年に共和党大会でトランプを支持しない場合、トランプは第三党を結成し、本番に臨むことになるだろう」と述べた。

第三党が誕生した例は何例かあるが、1980年にカーター陣営内部からアンダーソンが立候補して7%を獲得した。レーガンの圧勝に「貢献」した。
1992年には大富豪のロス・ペローが出馬し、19%を得票。ブッシュシニア共和党は分裂し、漁夫の利をクリントンにさらわれた。

中間選挙まで共和党はトランプ支持が主流派だった。ところが、事前に予測された『赤い波』(共和党が上下両院で多数となる)が起こらず、上院で多数派を取れなかったため、突如トランプ人気がは失速した(多分に左翼偏向マスコミの攪乱情報工作が原因だろう)。
替わって共和党有力候補としてデサンティス(フロリダ州知事)の名前が、メディアやワシントンの選挙専門家の間で取りざたされるようになった。

 大統領選挙本番まで、まだ二年近くあるが、2024年1月には予備選が開始される。
共和党候補はトランプ、デサンティス、ペンス、ポンペオ、マルコ・ルビオ、テッド・クルーズらに加えて、ニッキー・ヘイリーも出馬確実だが、嘗てのように「トランプ一強」の状態ではない。

 もし共和党が党大会でトランプを選ばない場合、トランプは新党を結成して本番に臨むというシナリオが急浮上したことになる。
 もし、そうなったら?
 共和党は負けるだろう。民主党の候補が漁夫の利をいただくことになる。米国の悲劇がつづき、衰退は確実になるだろう。

ウクライナ戦争でロシアもNATOも硬直しているいま   セルビアはコソボ奪回の軍事作戦を準備した

2023-01-03 21:04:15 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)1月1日(日曜日。元旦)
       通巻第7574号  
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 謹賀新年。読者の皆様、今年は良い年でありますよう。
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 ウクライナ戦争でロシアもNATOも硬直しているいま
  セルビアはコソボ奪回の軍事作戦を準備した
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12月26日、セルビアのブチェビッチ国防相は「ブチッチ大統領が軍に最高度の戦闘準備態勢を敷くよう命じた」と声明した。
セルビア特殊部隊の兵力を現在の1500人から5000人に増強する命令が出され、「一触即発の状態」にある。

 2008年にセルビアからの独立を宣言したコソボはNATOの空爆支援でセルビアに勝ったこととなり、またNATOが強引に独立を支援した。
 米軍機がベオグラードの中国大使館を「誤爆」したのもこの時で、セルビアの国防省ビルなどは広島の原爆ドームのように空爆の被害を意図的に残したままにしている。中国大使館跡は更地となって記念碑が立ち、その隣がなんと日本大使館だ。

 セルビアはコソボの独立を認めていない上、ロシア、中国はセルビア側に立ち、最近は中国が大型輸送機を数機飛ばしてセルビアに武器を搬入している。
 このためコソボの治安維持はNATO軍が分担している。

 コソボはアルバニア人がバルカン半島の戦争中のどさくさにセルビアからもぎ取ったかたちである。多くのセルビア人は非難したが、コソボ北部はセルビア系住民が依然として多数派を占めている。

緊張が高まったのはコソボのクルティ首相が、セルビア発行の車両ナンバープレートの使用禁止を決めたことで一気に均衡が崩れ、治安が悪化した。
セルビアはコソボ独立を絶対に認めず、一方、コソボもEU加盟を正式に申請しているが、条件とされるのはセルビアとの関係正常化。
 新年早々、コソボ問題が再燃する懼れが高まっている。

 中国の人権侵害に初めて物言う日本   櫻井よしこ  

2023-01-03 21:00:29 | 日記
 わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6367号

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中国の人権侵害に初めて物言う日本
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          櫻井よしこ

日本ルネッサンス 第1028回

相手が中国となると、わが国は政界も財界も信じ難いほど卑屈になる。一例が、中国の人権侵害問題には一言の抗議もできないという事実である。ところが12月5日、ようやくこの悪弊が破られた。超党派の「中国による人権侵害を究明し行動する議員連盟」が設立総会を開いたのだ。

これまでわが国にはチベット、ウイグル、南モンゴルの3民族の問題にそれぞれ取り組む議員連盟が存在し、各自、中国の暴圧と闘ってきた。今回、右の3つの議連が連帯して、中国の「人権侵害」は許さないという旗印を掲げて闘うことになったのだ。

会長にはウイグル議連会長で元国家公安委員長の自民党・古屋圭司氏、会長代理には南モンゴル議連会長で経済安全保障相の高市早苗氏が就いた。日本維新の会の馬場伸幸代表、立憲民主党の松原仁元拉致問題担当相、国民民主党の玉木雄一郎代表らも名を連ね、代理出席も含めて国会議員約60人が総会に出席した。

高市氏は外国における重大な人権侵害に制裁を科す人権侵害制裁法(マグニツキー法)を、先進7か国の中で日本だけが有していないのは残念だとし、新しい議連で同問題に取り組んでいきたい旨、語った。

設立総会には中国に弾圧され続けている3民族の代表らも招かれた。チベット亡命政府のロブサン・センゲ前首相は、3民族はみな同じ弾圧を受け、同じ苦しみを体験してきた、中国は自らを平和国家だと言うが事実は全く異なるとして、以下のように語った。

「中国は、自分たちは他国を侵略しないと言い続けてきました。実態は逆です。万里の長城は1000年も2000年も前に彼らが外敵の侵入を防ぐために築いた。長城の内側だけが中国だったのです。ところが中国の領土は今、それをはるかに越えて膨張しています。

彼らはウイグル人の土地を新疆と呼びます。新しい領土という意味です。ウイグル人の国土が古代から中国領であったなら、新疆とは呼ばないでしょう。新たに奪った国土だから新疆と呼ぶのです。このように、中国は他国から土地を奪い続け、現在の国土を有するに至りました。そしてその60%、半分以上が私たち3民族から奪った土地なのです」

安倍総理と同じ気迫で…

中国は狙いを定めた国を、あらゆる手段で取り込む。甘い言葉で騙し、無尽蔵かと思えるカネでエリート層を買収する。センゲ氏が語る。

「何も心配しなくて大丈夫ですと、中国は言います。その言葉こそ警戒すべきです。私たちの国を見て下さい。油断するとこうなります」

世界ウイグル会議のドルクン・エイサ議長も異論をはさませない迫力で危機感を表明した。100万人規模の同胞が収容所に閉じ込められ、この世の出来事とは思えない拷問が執行されジェノサイドが進行中なのである。エイサ氏の青白い炎のような舌鋒鋭さは当然だ。

「日本に要望します。現在進行中のジェノサイドを止めるため、何としてでも手を打ってほしい。中国が大国だからといって、中国の側に立たないでほしい。種々の国際会議で日本国首相は習近平にウイグル人弾圧をやめるように言ってほしい。安倍晋三首相は習近平にウイグル問題を指摘した。安倍首相の対中外交を引き継いでほしい」

安倍元総理は2019年12月23日、北京で首脳会談を行った。事前の打ち合わせで中国側は「絶対にウイグル問題に触れてくれるな」ときつく要求した。安倍氏はそれを無視して習氏にウイグル人弾圧について質した。安倍氏が私に語った。

「そのとき、空気が凍りつきました。そして習主席がこう言ったのです。『台湾問題ならまだしも、ウイグル問題に触れるのか』。緊迫の場面でしたが、その後は習氏も私も平静に対話を続けました」

この逸話をウイグルの人たちはよく知っており、心から感謝しているのだ。エイサ氏は、日本の現政府は安倍元総理と同じ気迫でウイグル人虐殺に抗議してほしいと繰り返した。エイサ氏の家族状況を考えれば、切羽詰まったような氏の言葉に大いに納得する。

氏は大切な母親、アヤン・メメットさんを収容所でなくしている。4年前の5月、78歳だった。エイサ氏はドイツ国籍を取得して世界ウイグル会議の代表としてドイツから発信を続けていた。息子が海外で「勝手な言論」により中国政府を非難しているとの理由で、高齢の母親が逮捕されたのだ。彼女は劣悪な状況下、尋問責めに遭い続けた。

中国当局は収容者に一体どんな責め苦を与えるのか。私が聞いた事例の中に、随分前の、日本人女性に対する責め苦がある。時期も異なり、拘束されたのは日本人女性でウイグル人に対する状況と必ずしも同じではないかもしれない。また、その詳細は残念ながら明らかにできない。それでも尋問の苛酷さの一端は日本人としてどうしても知っておくべきものだ。

何が良識の府だ

彼女は逮捕され、全裸にされ、両手両足を椅子に固定されたまま拘束され続けた。大小便は垂れ流しだった。地獄さながらの状態は月単位で続き、発狂しそうになったという。

前述したようにこの事例はかなり以前のことだ。しかし中国共産党の右の女性に対する所業は、清水ともみさんの本をはじめ、さまざまな形で伝えられているウイグル人弾圧の詳細と重なる。彼らは本質において全く変わっていない。そのことを胸に刻んで、私たちは断じてこんなことは許さないと、決意を新たにするべきだ。

静岡大学教授の楊海英氏が南モンゴルを代表して語った。来日して33年、日本国籍を取得した楊氏は、「わが国が中国に与えてきた前代未聞の巨額の政府開発援助(ODA)が悪魔の国を創りました。今、わが国はそのODAで他の発展途上国を扶(たす)けていますが、その中に3民族も加えてほしい。中国の人権侵害の実態を示す資料を集めて人権資料センターを作ってほしい。そうすれば、日本は中国の人権侵害研究において国際社会の拠点のひとつとなるはずです」

大事なことは人権無視、国際法無視の中国の勝手な行動を止めることだ。日本の役割は非常に大きい。中国にまともに物が言えるアジアの国は日本以外にない。それだけに、責任もある。

だが永田町を眺めると、多くの政治家が中国には沈黙を守ろうとすることに驚く。古屋氏らの議連が発足したのと同じ日、参議院は「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」を採択した。反対意見に配慮したことで、人権侵害でなく人権状況という文言になってしまった。決議文には中国の国名もない。参院の体たらく。何が良識の府だ。だからこそ、私は新しく生まれた議連に期待し、日本の政治家らしい行動を待つのである。