都会の家のサウナや公衆サウナで、入浴時に白樺の枝の束「ヴィヒタ (vihta) 」を使うことはあまり無いが、郊外や湖畔のサウナなどでの入浴に欠かせないのが「ヴィヒタ」である。
(フィンランド西部地域では「ヴィヒタ」と呼びますが、フィンランド東部地域では、これを「ヴァスタ (vasta) 」と呼んでいる)
僕がフィンランドに滞在した時、湖畔のサマーコテージなどでのサウナ入浴は、まず「ヴィヒタ」を作ることから始まるのが常だった。
入浴時、これで自分の体を叩くのだが、この習慣の起源は古く、サウナ発祥時(今から2000年ほど前)からあるという。
なぜサウナでヴィヒタを使うかと言うと、昔はヴィヒタは魔法の枝の様なものと考えられ、枝を振り回して悪魔を追い払うとか幸福を願うなど精神的な意味があったそうだ。
実利的には、サウナ内部の空気をかき回すとか、体を叩くことによって、サウナの熱気(ロウリュという)をより敏感に感じるためだとか、発汗作用を活発にさせるとか、白樺の葉にはバクテリアなどを殺し、傷口を消毒する作用が・・・などの効果があるという。
僕の経験では、ヴィヒタの最大の実利的効用は、これで前を隠せるということだと思うのだが・・・。
ヴィヒタは、白樺の枝で作るが、6月中旬から7月初旬頃までの柔らかで青々とした艶のある時期の白樺がヴィヒタ作りには最良である。
立地や気候により時期も変ってこようが、東京近郊では7月初旬の白樺が葉に艶があり、若々しく元気で一番良い様に思う。
そんなことを頭に入れて、「ヴィヒタ」を作ってみよう。
実家の近所の丘に1本だけ自生(?)する、僕にとっては貴重な貴重な白樺の木。
切ってきた白樺の枝は、水を入れたバケツに入れておく。
このぐらいの本数で中位の大きさのヴィヒタが2本できる。
中位の大きさの葉の付いた枝を選び、40-50cm位の長さに切り、上下を揃える。
(背中を叩くような長いものを作る場合は枝の長さを60-70cmとし、冷凍庫などで冷凍保存するものを作る場合は30cm位の短めなものとすると良いだろう)
枝の下側から20cmぐらいまでの葉や小枝を取り除く。
白樺の柔らかな枝の皮をむいて揉み、ひも状のものを作る。
今回は、庭に生えていたツル状のツタを使用することとした。
適量を束ね、ゴムバンドや紐などでまとめておく。
束ねた枝の根元から15cm位のところにツルを真ん中から通し、縛る。
足などでしっかり押え、きつく縛る。10cm位の間隔で2段に縛ると美しく、しっかりと縛れる。
縛った枝の根元は、ナイフやハサミなどで綺麗に揃える。
握り具合を確かめてみる。
ヴィヒタが完成!
白樺の瑞々しい葉の束「ヴィヒタ」は、サウナに用いなくとも壁にかけて、観賞用にしても美しい。
サウナの歴史、文化、設計、建設についてさらに詳しく知りたい方にお薦めの本。
「サウナをつくろう」沼尻良著 建築資料研究社。
【写真・撮影】管理人
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■「フィンランド建築・デザイン雑記帳」
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*「サウナで乾燥ヴィヒタ(白樺の枝の束)を初めて試す」
Jan. 15, 2006
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