【上の写真】 東京の家でもこの温度計を愛用している。
温度計の目盛は、0度が真ん中で、下はマイナス50度まであるのはさすがである。
「北方圏」という言葉がある。
北方圏とは年間を通じ、冬の生活を中心に考えなければならない地域を指すそうだが、フィンランドは北方圏の中でも、最も北にある国の一つだ。
統計では北緯60度以北に住む世界の人口のうち、その約40%がフィンランド人だという。 (北海道北部、稚内で北緯45度位)
フィンランドに滞在し彼らの生活を見ていると、長く暗い冬を素直に受け入れ、いかに豊かに楽しく暮らしていくかという姿勢が見られる。
冬の生活での寒さは、気温の差だけでは語れないことを彼らは教えてくれる。
フィンランドでは、どの家でも窓枠の外側に温度計を取り付けている。
屋外側に取り付けるのだが、目盛は室内に向いていて窓ガラスを通し、外の温度が分かるようになっている。
冬、朝起きると、まず窓枠に取り付けられた温度計で外の温度を見ることが、フィンランドに居た頃の僕の楽しみの一つであった。
マイナス5度、10度、まれにマイナス20度を越えるようなときがあったりして、東京育ちの僕は毎朝ワクワクしながら温度計をみたものだ。
人々は外出するとき、この温度計で外の温度を確認し、その日の服装を決める。
これは、晴れていても気温が低かったり、雪が降っていてもそれ程低くないといったことが度々あるからだ。
合理的な方法だと感心すると同時に、彼らの冬の生活の厳しさも察せられる。
【写真1】 屋外用の温度計 (フィンランド語では 「ウルコ・ランポミッタリ」という)。
最近ではセンサーを屋外に取り付けたデジタル式の温度計が普及しているが、このローテク、レトロな形は美しい。
温度計の目盛は、0度が真ん中で、下はマイナス50度まであるのはさすがである。
【写真・撮影】 管理人