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みなさんこんにちは、平野です。前回は大人の人身売買防止について、「安全で権利の守られた出稼ぎの実現」という枠の中で人身売買をとらえ、より現実的で実効的な手段が必要ではないか、という意見を述べさせていただきました。今回は「子どもの」人身売買の防止に焦点を絞って私の意見を述べたいと思います。
【貧しければ子どもも働いて仕方ないのか】
人身売買や出稼ぎの問題に取り組んでいる人々の多くは、「出稼ぎの危険性はわかった。しかし、ではこの貧困の現状どうすればいいのか」と村人に言われたことがあると思います。また、悪いのは人身売買であって出稼ぎに行くことが悪いわけではありません。
しかしながらそれは大人の場合の話です。子どもたちについては、カンボジアも批准している「国連子ども権利条約」にある「生存・保護・発達・参加」の4つの権利が守られなくてなりません。子どもの権利は、人身売買の被害にあって初めて侵害されるのではありません。出稼ぎという行為はほとんどの場合それら4つの権利を侵害する要素を多く含んでいるのです。
【子どもの成長を妨げる児童労働】
児童労働は「原則15歳未満の子どもが大人と同じように働く労働」(ILO138号条約)とされます(開発途上国の場合「14歳未満」とする例外もあり)。また、子どもが嘘の職業斡旋で人身売買されるなどして性的搾取された場合は、通常の児童労働と区別され、18歳未満の子ども全てが対象となる「最悪の形態の児童労働」(ILO182号条約)とされます。しかし職業斡旋業者が約束どおりの仕事を斡旋した場合でも、危険な環境で長時間働かされるなど、「最悪の形態の児童労働」に分類される子どもの健康、安全、道徳を害する仕事であることは少なくありません。
【子どもたちを学校に】
子どもの権利は、子どもであれば無条件に保護されるべき人権です。そして同時に、貧困を削減し社会全体を発展させる上で子どもの権利の実現は大変重要なものです。子ども時代を健康に過ごし教育を受けた若者にはより広い職業の選択肢がありますし、出稼ぎに出るにしても人身売買や労働搾取の被害にあう危険性は大きく減少します。そしてそういう子ども/若者が増えれば、家族が、地域が、そして社会が発展し、次世代の子どもたちが健やかに育つ環境を与えることができます。
とはいえ、実際に今現在貧しいのですから、奨学金や収入向上といった具体的に通学を支援する取り組みも必要です。しかし子どもの権利と教育の重要性は、そういった支援のあるなしに関わらず共有されるべきものです。そのためには「国際条約にそう書いてあるから」ではなく、人々と向き合い、子どもの権利と教育の重要性についてなぜそれが重要なのかをきちんと説明していく必要があります。
そして「人々」は大人だけではありません。国際子ども権利センターは、子どもが自分たちの権利の実現のために主体的な役割を果たすことを推進してきました。次回はこの「大人と子ども両方が」の重要性についてお話させていただきます。
※ 写真は農村部の学校の子どもたちです。校舎は老朽化していますが、とにかく毎日通学している限り子どもの最低限の安全は確保されていると言えます。
人身売買の撲滅にあなたの力を貸してください↓
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初歩的な質問になるのですが、教育を受けないというのが、なぜ人身売買や労働搾取の被害にあう原因になるのでしょうか??