舞台は東京、秋庭(架空の地名?)。
秋庭にある秋葉図書館に持ち込まれる利用者?からの謎。
その謎を図書館員の本にまつわる知識で解き明かすミステリーの短編集です。
ただ、ミステリーと公式に書いてますが、ミステリーというよりは、持ち込まれた謎を解決していく過程を楽しむ物語という感じで、読み手である読者は、知識がないと謎解きに参加するのは難しいと思うのと、そもそも、後出しみたいなものが多いので、謎解きを楽しむことは難しいかな?と思う作品です。
ミステリーというジャンルとしてはどうよ?とは思うものの、読んでいて面白く、純粋に物語として楽しめる作品ではないかと思います。
持ち込まれる謎が、基本的には令和や平成の常識では通じないものが多く、作者のあとがきにあるように、確かに、昔話とかわらないところがあるなと思います。
ただ、そういう時代も確かに聞いたことあるよなぁという程度なのですが、確かに、昭和40年代頃の話って、今や昔話なんだなぁと感じました。
また、短編のタイトルが綺麗で、日本人の漢字の使い方って綺麗だよなぁと感じました。
そんな本作からは感じたことは、今の常識や価値観で昔のことは考えられないということ。
当たり前でしょ?といえばそれまでなのですが、そんな当たり前のことをわかっていても、少し前のことでも今の常識で考えてしまうことです。
今なら、夫婦共働きも当たり前ですし、女性が大学に進学して学んで、社会に進出することも当たり前。
勿論様々な課題はまだまだ残っていますが、女性は寿退社が当たり前、定年は30歳という時代は50年前くらいまでは当たり前、女性が学問なんかするものじゃないという考えは100年前にあったわけです。
よくよく考えれば、私の世代(40代)を軸に考えても、親世代、祖父母世代で常識や馴染んだものが違うし、私の下の世代はポケベルの存在自体知らないし、考え方も違うわけです。
そういう当たり前のことをわかってはいても、なぜか他の世代のことを考える時は、今の自分を軸に考えてしまう。
そういうことってあるよなぁと気付かされる、そんな日常の謎が多かったなと感じました。
そして、実はそんな過去とのジェネレーションギャップを埋めることができるのは実は図書館だったりするんだろうなぁと思いました。
図書館は過去と未来をつなぐもの。
まさに失せもの探しは図書館へと思う作品です。
※ブクログに掲載した感想を転載しております。
約50年前、約100年前はもう昔話の部類だなぁと感じた作品。
人間の考え方、常識は生きている間ですら変化するもんですもんね確かにと思いながら読みました。
あと、短編のタイトルがきれいだなぁと思いながら。
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