居酒屋ぼったくり〈2〉 | |
秋川 滝美 | |
アルファポリス |
「器用貧乏って何でも切り分けられる三徳みたいな人のことなんだよ。言うなればなんちゃってオールマイティー。一緒に働く人にとっては重宝きわまりない。」
さて、久しぶりに読んでみました。『居酒屋ぼったく』の第2巻です。
1巻からの紹介じゃないのか?とツッコまれそうなんですが、1巻読んだのは半年くらい前だっけ?・・・。はい、店主の美音さんに怒られそうなくらい遠ざかっています。
このシリーズ、本当に美味しそうなものを読みたいときに読むものだと思っていて、本当に気分次第に読んでるので、3巻も読むのは先になりそうな気が…
一応、冒頭では一番印象に残った登場人物のセリフを入れるようにしているので、今回は第一章『働き者の包丁』より、居酒屋ぼったくりの常連客のケンさんの言葉よりいただきました。
会社の中でも器用に何でもこなしますが何かに特化した専門家になりきれない人がいます。RPGゲームなんかでも器用貧乏って使いづらくて、最後は強い魔法や技を使えないので外してしまいがちですが、社会ではそういう器用貧乏の人って目立たなくても重要なんだよということを、家庭用の三徳包丁を例にとって発した言葉です。一般家庭では大きな肉を捌いたり、魚を丸々一匹捌くことは少ないため、肉切り包丁などのスペシャリストな包丁よりも何でもある程度切れる三徳包丁の方が役に立つでしょうという話で出てきます。
そんな、居酒屋ぼったくりは常連客の悩みを常連客同士で温かく話し合いながら今日もおいしい料理とおいしいお酒で満たされていきます。
①あらすじ・概要
いつもおいしい自称ぼったくり料理とそれに合うお酒を提供してくれる女店主こと美音さん。今日も常連客の悩みを聞きながら居酒屋ぼったくりは下町情緒にあふれた営業を展開中です。
短いあらすじですが、本当にそういう話だと思っているのでこうとしか言えません(笑)たぶん、先にはなると思いますが、3巻はこのあらすじのコピペになる予定(笑)
②感想
・おいしそうな素朴な料理たちとお酒
1巻から外していないなと思っていることですが、毎度のことながら出てくる料理がおいしそうで食べたくなります。お酒の組み合わせもおいしそうで、こういう居酒屋があれば本当に行きたいなと思うクオリティーはそのままです。
ちなみに、1巻を知らない方のために『居酒屋ぼったくり』の由来を説明しておくと、もともと店は先代であるヒロインこと女店主の美音さんの父親がはじめたもので、その父親の言葉を要約すると「家で簡単に作れる料理を客からお金をもらって商売するんだから、それはぼったくりじゃないか」ということだそうで、そうです。ここから居酒屋ぼったくりという由来がきているのですが、1巻からとてもぼったくりとは思えないような良心的でリーズナブルな料理やお酒が提供されています。
食べ物も惹かれるのですが、作者自体に先見の明があるのか、1巻で紹介されたビールとレモンソーダ水を割った「アドラー」、今巻で紹介されているマッサンが放送される前に紹介されている「竹鶴ピュアモルト」など、飲みやすかったり、コスパ最高のお酒を紹介されています。
ちなみに、私はこれを書きながら「竹鶴ピュアモルトのロック」を飲んでいます(笑)
竹鶴ピュアモルトの味も本巻で紹介されているように、柑橘系の香りがするという感じで表現通りの味になっております。
その他、料理も、普通の一般家庭で作れそうな料理が勢ぞろいで、今巻では野菜チーズ海苔巻や鉄板ナポリタンに餃子などなどおなかがすいたときに読むとよだれしかでなさそうなおいしそうな料理達であふれています。
・特に印象の残った話
冒頭で書いた器用貧乏こそ重宝されるという三徳包丁の話、それとは打って変わって10人中7人が30点と言っても、3人が100点と言ってくれるお店を目指せ?というようなお話や、おいしそうな餃子の話など下町情緒にあふれた常連客達がおりなすお話達の中で私が一番印象に残っているお話は、常連客が求める思い出の味としてナポリタンを作ってもらう話です。
特に印象的なのが、今は食べるものが多すぎて、逆に食べたいものがなくなっているということです。
これは本当にそうだなと心当たりが多すぎて印象に残っています。
私の仕事柄、外回りが多いので基本的には外食です。コンビニで買って車で食べる時もあれば、牛丼チェーン店、うどんチェーン店、ラーメン屋などなどサラリーマンの給料の範囲内で節約しながらお昼を食べています。
そういう時に思うのですが、毎日、いろいろと選べるはずなのに食べたいものがないという事態に陥ることがあります。昨日あれは食べたからいらないとか、コンビニのおにぎりの味に飽きたなどなど食べるものが多すぎて、本当に食べたいものがなかなか見つからないことが多々あるなと思います。
そんなことを思いながら、話を読み進めていくと常連客の懐かしの味について語りだしたので、自分にとっての懐かしい味ってなんだろうなぁと考えていたら、ボーイスカウトで初めて自分一人で炊いた飯盒炊飯のご飯とカレーの味を思い出しました。
水をやや少な目にしてしまい、やや固くなってしまった炊き立てのご飯の上にどろどろでやや焦げ気味、薪の香りのする失敗したカレーをかけて食べたのですが、失敗したのに妙においしかったなと。
その他。2週間北海道に滞在することになって、無性に餃子の王将の天津飯と餃子、から揚げのセットが食べたくなって、歩いてれば見つかるだろうと夜の札幌市内を歩きまわったことなど(今は知りませんが、当時、王将は北海道にはありませんでした)、自分にとっての染みついた味っていうのはこういうものなんだろうなと思いながら読みました。
ちなみに、作中に出てくるナポリタンの鉄板焼きは本当においしです。通ってた大学前にも鉄板焼きでナポリタンを出すところがあったので思い出しましたが、ナポリタンのケチャップとパスタのおこげの香りが抜群にあっておいしんですよね。半熟の目玉焼きをつぶして絡めて食べたなぁと懐かしくなりました。
と、思い出せば思い出すほどよだれの出てきそうなことを思い出してしまう食いしん坊なブログの管理人JiJiでした。
1巻に比べて文章量が増えたせいか分量が増えたなという印象ですが、おいしそうな居酒屋ぼったくりは今巻も健在です。
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