辞書と言う船に乗り暗い海面に浮び上がる小さな光を集める。
最も相応しい言葉で正確に思いを誰かに届けるために。
もし辞書が無かったら私たちは盲漠とした大海を佇む他ない。
辞書は言葉の海を渡る舟、大海を渡るに相応しい舟を編む。
これが私たちの仕事です。
NHKBSで始まったドラマ「舟を編む」(原作三浦しおん)。
中堅出版社の辞書編集部が十数年もかけて国語中辞典を生み出す
苦労を描いたドラマである。因みに辞書の名前は「大渡海」。
冒頭の言葉はその第1回で柴田恭兵演じる顧問編集長が、新人
のファッション誌編集部から移って来た若い女性社員に語る言葉
である。
「舟を編む」は実は、2013年に松田龍平と宮崎あおいの主役で
映画になっている。今回のドラマはその最後の3年ぐらいを描く
ようだが、映画では十数年の長い苦難の年月を描いている。
その最後、出版記念祝賀会の会場の隅で編集長と元編集長が、
互いのポケットから「用例採集票」の束を取り出して見せ合う。
出版のその日、いやそれ以前からもう改訂版への新語の採集が
始まっているのである。
このブログで時折紹介する「街のB級言葉図鑑」の著者である
飯間浩明氏は辞書編纂者。街に出て新語を集め、世の中での浸透を
見極めて改訂版への採用を検討する仕事である。
映画版「舟を編む」では新語として、キモイ、ダサイなどが出て
来る。自分が抜けることで潰されそうになった辞書編集部の存続を
図った編集者が置き土産として書いた「ダサイ」の用例は、自らの
経験であった。
「酔っぱらった勢いでプロポーズするのは・・・」