自燈明・法燈明の考察

立正安国論雑感①

 先日ですかね、福島第一原子力発電所の汚染水(政府は処理水)を二年後に海洋投棄する事を決定したという報道がありました。先の記事にも書きましたが、どうも今の日本は何を考えているのか、よく分かりません。
 その他にもこの間にはLINEのサーバーが韓国にあり、中国人のエンジニアがそれを見れる事が可能であり、セキュリティ云々に問題があるなんて騒いでましたが、そんなもん、いまの日本のIT業界には、派遣社員も含めてかなりの中国人が既に仕事をしていて、システム開発等にも携わっていますよね。そもそもIT先進なんちゃらの日本政府の施策のコンサルティングでも、中国企業と政府は提携の契約結んでいたりしています。

 昨今の新型コロナ禍でも「打つ手なし!」で、緊急事態宣言を止めたり、その後は「マンボウ(蔓延防止)」なんて言い出しています。以前には「新型コロナに打ち勝った証としてのオリンピック」なんて、菅総理はブチ上げていましたが、最近になり新型コロナの感染状況に関係なく開催する方向になってますよね。

 一体この今の日本という国家は、どこを見ているんですかね?

日蓮の立正安国論について
 こんな国がおかしな状況になると、創価学会の中や日蓮正宗関係で、いつも話題になるのが立正安国論です。あの「旅客来たりて嘆いて曰く」から始まる論文ですが、そこでは金光明経や仁王経と言った、様々な経典を引用し、正法が廃れた時の三災七難について述べています。

 今の時代、新型コロナという伝染病や、尖閣諸島や南沙諸島の中国の動きと、それに伴う東アジアの情勢、また国内の景気の悪化や、貧困格差の拡大など、見方によっては立正安国論の三災七難に合致する様に見えますので、今こそ正しい仏法を!とか、正しい宗教が必要なんだ!なんて息巻く人達も出てけわけです。

 日蓮の立正安国論の主題は「正を立て国を安んじる論」という事で、この「正を立て」とは、法華経を中心とした仏教の確立を意味していて、要は日蓮の会得した法華経の信仰を国に確立出来れば、その国は安寧となるという論です。
 確かに日蓮の生きた鎌倉時代には、政治と宗教(仏教も含む)は不可分であり、ある意味で政教一致の社会でした。そんな時代には仏教を立て直す事で、国が変わることもあったかもしれません。しかし現代に於いて国家と宗教は分離され、社会の様々な仕組みも変化しており、尚且、鎌倉時代当時には理解出来なかった病の原因や異常気象の環境現象も、かなり詳らかにその仕組みが判明しています。

 こんなに世の中が変わってきた中で、鎌倉時代の仏教僧の言葉を、そのまま受け売りにして、その当時に幕府に提出されたものを、丸のみで信じてしまっても、それは無意味なのではありませんか?
 そういう意味で、単に立正安国論の文面だけを丸呑みして、この現代社会に対して講釈たれる事に、私は何も意義を感じないのです。

現代に於いて大事な事
 ではこの今の時代、一体何が重要なんでしょうか。その事についた、私は常に考えているのですが、悲しいかな、なかなか妥当な答えが見つかりません。ただ一つ、とても強く感じる事は、日本の国を牽引すべき政治家の中にある価値観が、あまりにお粗末過ぎると言うことです。多くの政治家が、自己の利権やイデオロギーにより雁字搦めになっていて、その雁字搦めの視点でしか行動をしていない様に見えてなりません。

 またこれは政治家に限らず、国民の側についてもそうでしょう。ある本には「政治の腐敗とは政治家が賄賂を取る事ではない。それは単に政治家個人の腐敗である。政治の腐敗とは、そんな政治家が賄賂をとっても、それを批判できない状態の事を言うのだ」とありました。
 詰まるところ、今の日本の政治形態は「民主主義国家」である事から、政治家の腐敗や愚かさの責任とは、国民の政治意識に帰するものであり、この国民の政治意識を変えない限り、今後も目の前の利権やイデオロギーに翻弄される政治家しか、日本の政治の世界には出て来ないと言うことに他なりません。

 これは悲劇的な事だと私は感じています。

 だから今求められるのは、国民の政治に対する意識の変化だと思うのですが、それにしてもかなり困難な事なんだろうと考えたりします。何故なら、これには国民の一人ひとりの価値観の変化が必要になると思うからです。
 そしてもし、日蓮の立正安国論が現代に有用なものとして展開するのであれば、この国民の価値観の変化を促す触媒としての位置づけにしか無いように思うのです。しかしそれは単に文字面を舐めるだけでは無理な話でもあるのです。

 ちょっとこの事について、この先も書いていきます。

(続く)


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