自燈明・法燈明の考察

経済格差と徴兵制

 来週から10月になります、早いものです。新型コロナ禍の緊急事態宣言も解除される様ですが、最近の報道によれば、感染者数がここ最近減少した理由は明確に解らないと云うことだそうです。第五波の原因は、オリンピック・パラリンピックではないかと言われていますが、これについては政府は言下に否定しています。

 でも減少した理由が解らないと言う事は、言い換えしてみれば10月以降に第六波が来ないとも限りません。まだまだ予断を許さない状況が続きそうです。

 さて今日の本題です。昨日、朝のニュース番組でも取り上げていましたが、この新型コロナ禍による収入減少、またリストラにより、住宅ローンが焦げ付き、破産する人が増加している様です。
 もともとこの二十一世紀に入ってからの日本は、小泉自公政権が市場原理主義に舵を切ってから、貧困格差が広がる一方の社会に変化しました。

 私が仕事をしているIT業界でも、中国系企業が参入はじめてから、エンジニアの単価がかなり下落してしまい、ITエンジニア総体の収入も下がる一方で、いまや低賃金労働の代表格になってしまったと言っても良いでしょう。
 私がこの業界に入った時、新人プログラマーでも人月単価は80万/月で計算してましたが、今では熟練したプログラマーも50万/月で取れたら御の字という状況です。

 私の親の時代の日本は、池田内閣時代の「所得倍増計画」により収入も右肩上がり、日本社会は終身雇用が当たり前で、真面目に会社に長年勤めれば、大抵は子供を大学に通わせて、持ち家を何とか出来る社会でした。欧米では日本は一番成功した社会主義の国と揶揄されたのも、そんな「1億総中流社会」を指しての事でした。
 しかし今では真面目に働いてもリストラされるか、大企業に於いても早期退職を求められる時代です。またインターネットの整備が世界的に進んだ事で、仕事をする上で国境の敷居は低くなり、賃金の高きは低きに習うように、平均的な賃金の下落は止められない状況です。

 一方、先日の事ですが、アメリカのバイデン大統領は「日米豪印の連携強化」を発表していましたが、これは近年、極東アジアに見える中国覇権の動きをけん制しての事でしょう。中国は南沙諸島に人工島を構築し、実質的な占領により領海を拡大し、日本の尖閣諸島への圧力も強めるだけでなく、大和棚と言われる日本の排他的経済水域内でも、イカ漁の操業を進めています。
 恐らく十三億に何なんとする自国民を食わせる為、また二十世紀初頭に欧米列強からの切り取り場とされた歴史を払拭する為に、この覇権拡大を取っている様に私なんか見たら思えます。



 最近言われているのは「台湾有事」です。台湾はTPP参加を言っていますが、これに対して中国は異を唱えています。先日も台湾は大規模軍事訓練を行っていますが、何気に台湾海峡の緊張感は最近になり高まっています。
 これについて本年7月5日に麻生副総理は「台湾有事で集団的自衛権行使も」(時事通信)と発言をしていて、もしこの海峡で有事が起きた場合、恐らく日本も他人事ではいられない事でしょう。

 もし台湾有事など、いわゆる「集団的自衛権」を発動する場合、真っ先に動くのは日本では自衛隊ですが、近年の自衛隊では人材不足が慢性化しています。要は自衛隊のなりてが少ないという状況です。この状況を解決する方法として、近年、防衛省で検討している事は、自衛隊に任官した人については、退官後にその人の大学などの進学の学費を国で助成するという制度です。これに似た制度はアメリカ等でも採用していますが、近年ではこれは「経済的徴兵制」と呼ばれています。

 よく共産党や一部「左の人達」は、未だに「召集令状(赤紙)」の話をしていますが、今の時代、この様な制度を復活する事は無いでしょう。むしろこの「経済的徴兵制」を採用すれば、貧困層の若い世代の人達は能動的に自衛官に任官する人が増えるかもしれません。

 穿った見方をすれば、国にとって「経済格差」が開き、貧困層が増加するというのは、メリットがあるのかもしれませんし、その事からも格差社会を容認する様な動きをしているという事はないでしょうか。

 新型コロナとそれにまつわるワクチン接種への社会の進み方もそうですが、近年、人類社会はとてもよくない方向に向かっている事を私は危惧していますが、こういった経済格差と徴兵制についても、実は気にかかっている事の一つでもあるのです。

 
 

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