自燈明・法燈明の考察

心のかたちについて-はじめに

 先日の事、作家の五島勉(ごとうべん)氏が亡くなりました。今の若い人達は知らないかもしれませんが、五島氏の代表作と言えば「ノストラダムスの大予言」(1973年)があります。この本が発刊された時、私は小学生でしたが、内容は16世紀(1503年~1566年)にフランスに居た医師であり占星術師でもあった、ノストラダムスが残した様々な予言を取り上げたもので、「1999年7の月、空から恐怖の大王が来るだろう」という事を引用し、人類は21世紀を迎える事なく滅亡するという内容でした。



 これには当時の小中学生には大きな影響を与えました。この本の内容は、恐らくいまの五十代から六十代の人の記憶には、深く刻み込まれていると思います。この本の内容は1974年には東宝で映画化されもしました。

 私達の世代が子供の頃は、公害問題もあり、アメリカとソビエト連邦(現:ロシア)も東西冷戦の真っただ中、核戦争が何時でも起きる可能性もあって、社会の中には未来に対する不安も根深くあった事から、日本国内では「ノストラダムス現象」というものまで起きて、それはその後の日本のオカルトブームへの先駆けにもなりました。

 恥ずかしながら私も小学生時代には「1999年になると、自分は30歳代になっているが、そのあたりで自分の人生が終わってしまうんだろうな・・・」という、漠然たる不安を抱えていたのも事実で、個人的にですが、その後、自分の中には人生の終焉について、常に心の奥底に持っていたという感じもします。

 さて、そんな世代の私ですが、もう五十代の半ばになろうとしています。
 内心に漠たる不安を抱えていた世紀末も、大きな事件や出来事もなく無事に過ぎ、2000年に入って今の嫁と出会い、家庭を持つ事も出来ました。そして生まれた子供たちも中学生と高校生で、今や生意気盛りの中、私は平凡に生きています。

 「ノストラダムスの大予言って、何だったんだろうか。」

 五島氏の訃報を見た時に、ふとそんな事も思いました。
 世紀末には、五島氏の書いた「ノストラダムスの大予言」にあった様なカタストロフ(大破局)こそ起きませんでしたが、20世紀末から21世紀初めの世界では、様々な事件が国内外で発生しました。

 1989年:ベルリンの壁崩壊
 1991年:ソビエト社会主義共和国連邦の終焉、湾岸戦争の勃発
 1995年:阪神淡路大震災、オウム真理教による地下鉄サリン事件
 2001年:アメリカ同時多発テロ
 2003年:第二次湾岸戦争

 また2011年には東日本大震災が発生し、今までに経験した事の無い大災害を経験し、この震災では福島第一原子力発電所も爆発、放射性物質が太平洋に拡散しました。
 そしてその後も、日本各地では震災もあり、九州や中国地方では大雨による水害が頻発、関東方面でも水害や過去に経験した事の無いような強力な台風の襲来もありました。

 また今年に入ってからは、新型コロナウィルス(武漢肺炎)のパンデミックにより、東京オリンピックは延伸となり、日本社会だけではなく、世界的に今までには無いような事態に人類として直面しています。

 この様な時代の中を私は生きていますが、やはりこの年齢になると、自分の人生の先に夢を見るというよりも、過去の自分の人生を振り返る様になってきています。これはある意味、当たり前の事で、私の人生の残り時間も、四半世紀あるか無いかとなっていますが、これまでに生きてきた人生の軌跡は、それに倍する半世紀となっています。

 その様な中で、最近では「心のかたち」という事について、考える事も多くなりました。
 私は創価学会の中で、日蓮を切っ掛けとして少し仏教について触れました。創価学会ではよく仏教とは「生命哲学」という言葉で表現しますが、最近になって、私は仏教が解き明かしているのは「生命」ではなく、「人の心」では無いかと考える様になりました。

 その事から、少しこの「心のかたち」について、思索した内容をまとめてみたいと思い、カテゴリを追加して、これからつらつらと書いてみようと思います。

 まあお時間のある方は、お付き合いいただけたら幸いです。


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