自燈明・法燈明の考察

再考―エノクの預言(2)

 エノクの預言について再考を続けていきます。
 この預言は、最初から順序良く書き記されているという内容では無い様です。全体的に重要なキーワードや言葉のピースが継ぎ合わされ、預言の言葉として構成されている様です。今回はこの預言の中から、「アメリカ」の動きについて追ってみたいと思います。どうやらこの預言の中で語られるカタストロフィー(破局)の鍵を握るのは、アメリカ合衆国の様なのです。

 この預言では、ローマ法王が居住しなくなった後、世界は大きな戦争や内戦が起きるとありましたが、その戦争については以下のものだと述べています。

「東の国家は西の国家に対して立ち上がり、西の国家は東の国家に対して立ち上がるであろう。」

 しかし預言から2年後の1989年12月、地中海の島国であるマルタで米ソ首脳会談が行われ、そこでブッシュ大統領とゴルバチョフ書記長が「米ソ関係は新しい時代に入り、冷戦は終結した」と宣言。その日で東西冷戦は終結したと言われています。しかし現在ではどうかと言えば、やはり世界はアメリカとロシアの対立する世界となってしまいました。
 預言では「西の国家」と「東の国家」となっていますが、これは西欧諸国とロシアを中心とした国家の対立という事を述べていると思われます。

◆世界の警察、アメリカ

 エノクの預言では、この西と東の国の対立に対して、アメリカが取る行動を以下の様に述べています。

「他のすべての西側資本主義国と並んで、真っ先に東の国々と戦うのはアメリカ合衆国であろう。他方、彼らはまた東からの侵入者に対して自国を防衛せねばならない。総じてアメリカが決定的な役割を果たすであろう。なぜならば、アメリカは平和への努力とテロ撲滅を隠れ蓑にして地球の多くの国々に侵人し、すべてを爆破し、破壊し、何千という住民を殺すからである。」

 先にも述べましたが、1989年に東西冷戦の終結を宣言した両国ですが、この冷戦終結後、ロシアはその後、経済的な苦境の中でそれまで超大国として世界の半分に睨みを利かせていた国家でしたが、アメリカの軍門に下ったかの様に、アメリカの資本に牛耳られる国となってしまいました。その事からロシア国内でも「強きロシアをもう一度」という動きも活発化し、そこで台頭してきたのがプーチン大統領だったのです。

 ソビエト連邦解体で弱体化したロシアは、このプーチン大統領のもとで、再度、国際社会に対して影響力を付けていたのは、ここ30年間にわたるソビエト連邦からロシア共和国への歴史を見ればわかります。そしてロシアの対立国として、アメリカがある事も、近年の国際情勢、とりわけ中近東の情勢を見れば理解出来る事でしょう。

 世界はいま、新たな対立構造の中にいるのです。

 そして東西冷戦が終結してから、アメリカはどの様な行動を取ってきたのか。それは当に預言の中にある様に「アメリカは平和への努力とテロ撲滅を隠れ蓑にして地球の多くの国々に侵人し、すべてを爆破し、破壊し、何千という住民を殺す」という行動を取ってきたのです。

 東西冷戦後、世界は一極支配の体制と言われるようになっていきました。具体的な例としては1990年8月2日にイラクがクウェートへ侵攻した事に対して、アメリカ軍を中心とした多国籍軍が編成され、1991年1月17日から2月28日までイラク戦争が行われました。これと同じ時期、1991年にはソビエト連邦が崩壊したのです。
 これ以降、アメリカではクリントン大統領が就任し、リベラルな方向へと進み、コソボ紛争、イラクへの空爆、アフガニスタンやスーダンへ攻撃はしましたが、これらは小規模なものであり、大きな軍事行動をとる事はありませんでした。しかしこのころからアメリカは「世界の警察」を自任し、国連とは異なる行動をとる事も増えたように見受けられます。

 そして2001年9月11日にアメリカ同時多発テロ事件が発生、この時にはブッシュ(息子)政権でしたが、この事件で支持率は急激に上昇、アメリカはこれをきっかけにアフガニスタン侵攻やイラク戦争をはじめ「対テロ戦争」という名目で対外強硬路線を取ったのです。

 これはまさにエノクの預言にあった「アメリカは平和への努力とテロ撲滅を隠れ蓑にして」の姿、そのものでしょう。

「アメリカ合衆国の軍事政策は、経済政策やその他の政策と同じく限度を知らない。そうした政策は、かなり以前からそうであったように、世界警察の権力を構築し、これを行使することをめざして策定されるであろう。だが、それだけではない。いわゆる平和的なグローバル化の隠れ蓑のもとで、アメリカの政治は経済による絶対的な世界支配を追求するからである。そしてそれは、大多数の人間がついに理性を持ち、自分たちの政府と軍およびその諜報機関による狂気の策謀に対して必要な措置を講じ、無責任な責任者の権力をすべての分野で禁止しないならば、第3次世界大戦が勃発し得る方向へと向うであろう 。」

 先に書きましたが、アメリカの「一極体制支配」という構造は、1990年代から始まり、それ以降、世界はアメリカの元につきました。それは軍事的な側面でもそうですが経済的な側面においてもそうだと思います。
 経済の世界では「市場原理主義(リバタリアリズム)」が世界を席巻し、日本においても小泉自公連立政権の元で始まりましたが、その大本はアメリカの経済政策によるものでした。

「もしそうしなければ、大小さまざまな民族は独立と文化的なアイデンティティーを失って、意気阻喪するであろう。なぜならばアメリカは邪悪な暴力によって彼らに対する優位に立ち、自分たちの意のままにしようとするからである。
 最初、多くの国々はアメリカの攻撃と制裁に対する不安から、合衆国狼の声に合わせて吠えるであろう。スイスやドイツといった国々の多くの無責任者もそうするであろう。しかしまた別の国々は、なんらかの形で強制され、あるいはアメリカの宣伝や、無責任者のアメリカ寄りのプロパガンダに惑わされて同調するであろう。だが最後には、アジア、アフリカ、そしてまたヨーロッパの多くの国々は、自分たちがアメリカ合衆国の戦争と征服と搾取の目的のためだけに利用されていることに気付いたとき、アメリカの覇権に対して立ち上がるであろう。
 したがって最初に多くの国々がアメリカの手下国となった後、政府の責任者や多くの国民に理性と認識が訪れて、合衆国に対する離反が行われるのである。」

 しかし近年になり、このアメリカによる「一極支配」の構造というのは、変わってきています。フィリピンからのアメリカ軍の撤収、ヨーロッパ(EU)とアメリカの間においても1990年代とは変わり、関係性が変化してきています。

 このエノクの預言で見るべきポイントは、これらの事が1987年に、すでにマイヤー氏に語られていたという事です。

(続く)

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