自燈明・法燈明の考察

五十代になり少し理解できた事

 昨日から今日にかけて、仕事で出張していました。この記事は仕事が終わり、飛行機で戻るまでの空き時間で書いています。

 この空き時間、先ほどまで法華経を読み返しながらホームページの記事を更新していましたが、最近こんな時間はあまりとってはいませんでした。昨年末に病を得てから、何かとやりたい事も多くなり、こういった思索する時間をあまりとらずに来ていたので、致し方ないのかもしれません。

 さて、この出張ですが、昨日の夜は男子部時代の後輩で、この出張先に引っ越しをしていたメンバーと久々に再開して、よる遅くまで酒を呑みながら様々な事を語らっていました。

 私は創価学会の組織の在り方や活動に見切りをつけて、既に十年以上経過をしています。しかし人生の四半世紀をその組織や活動に費やしてきたので、そこでも幾ばくかの良い人間関係を作る事も出来て、今でも付き合いをしているメンバーは若干名います。まあ人生において、本当に信頼置いて付き合える人間なんてのは、それほど多くなくても良いんですよね。

 さて、酒飲みながら昨晩、様々な事を語らいましたが、後輩とてもう五十歳になっている人物で、人生の酸いも甘いも経験しているメンバーです。そんな後輩と語り合う中で互いに「そうだよな~」と感じた事について、今回は記事を書いてみます。

 思い返せばこの五十代に至るまで、私は様々な事を経験してきました。そんな中で思うのは以下の日蓮の言葉というのは、結構、的を得ているんだよなという事です。

「賢人は、八風と申して八つのかぜにおかされぬを、賢人と申すなり。利い・衰え・毀れ・誉れ・称え・譏り・苦しみ・楽しみなり。おお心は、利いあるによろこばず、おとろうるになげかず等のことなり。この八風におかされぬ人をば、必ず天はまぼらせ給うなり。」
(四条金吾殿御返事-八風抄)

 この御書は、確か四条金吾が主君の江間氏から疎まれた時、四条金吾に対して与えられた御書だと記憶しています。

 この人生を生きていると、人は八つの風に常に翻弄されてしまいます。八つの風とは感情の動きと言っても良いでしょう。簡単に言えばいい事も悪い事も、心がさんざめく様々な感情のうねりと言ってもいいでしょう。特に苦しみに関する事なんてのは、人にとっては耐え難いものです。

 私も過去に、当時いた会社で新規事業の立ち上げを命じられ、そこで必死に頑張りはしたのですが、時の世情も相まって、結果として会社に損害を与えてしまった事があります。その時には、日々針の筵の上に座っている感じで、私自身、心も不調となり心療内科を受診しようかと、真面目に病院をネットで探し回った事があります。また昨年末に入院して手術するに至った病の時も、自分の人生はここまでかと腹をくくった事もありました。

 人は苦境に入り込むと、こういった感情のうねりによって、やはりジタバタと足搔いてしまいます。これは致し方が無い事でしょう。でも人生の中で、感情のうねりに任せて足搔きまわるときには、よりドツボにハマってしまうという事はよくある事です。

 水に溺れた人は必至になって藁をもすがる思いで足搔きますが、足搔けばあがくほど溺れてしまうのはよくある事で、それと同じ様な状況になってしまうものです。

 でもそういった時に泰然自若と構えて、人生なる様になる。と決めていると、意外なところから救われたりするものなんですよね。私の仕事での苦悩も、先日の病もそうでした。そしてこの事は、昨日あった後輩も実感したというのです。

 私は「人生塞翁が馬」というのを常に心がけて生きています。人生の中で起きた事には、後になってみれば一つ一つに重要な示唆があり、その重要な示唆を得る為にも悪あがきはしてはいけないし、感情のうねりに心が翻弄される事があってはならないと。

 でもそういう事の為に、重要な事は「自信を持つ」という事です。

 ここでいう「自信」とは、うぬぼれとかではなく、この世界に今存在している自分自身を「信じる」という事の「自信」です。そしてその信じれる自分自身であるかないか、そこは個人の信仰観が大きく関係してくるので、そういう意味で「信仰」は必要だと考えているのです。

 そしてそういう自身を持つ人というのは、結果的に日蓮が言うように「この八風におかされぬ人をば、必ず天はまぼらせ給うなり。」と、何かしら人生が「守られた」という状況に入っていけるのではないでしょうか。

 この世界に生まれてきて、生きてこれたのだから、そこには自分自身として「無意味」になる事はない。もし無意味になるとしたら、それは結果として自分自身の考えや行動から「無意味」という事にしてしまうのではないでしょうか。

 この年齢になって、そういう事なんではないかという思いを深くしているのです。


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