さる週末の午後。
とある高校の門を出て、足早に歩く女、一人。と言いたいところだが、
周りには同じように駅に向かう、
ちょっときれい目の服に身を包む女性たち。
そう、新年度がスタートしたこの時期、どこにでも見られる、保護者会帰りのひとのながれである。
しかし、この女の向かう先は、
自宅ではない。
逆方向の都心へ向かう電車に乗った時から、もう、腹は決めていた。
今日は、一人でも、行ってみよう。
その日からさかのぼって数日、若者やら、外国人やら、女子高生やら、とにかく騒がしい街を
歩き回って、探した店が、
実は目的のものではなかった、のがわかり、なんとしてでも、一度は見なければ、
と決意してのこの日の行動である。
そして、
目的の駅 で改札から出ると、
そこはすでに大量の大学生、新入社員、で溢れかえっていた。
今日の探索地はこんな喧騒の中にはない。
歩き続けること10分あまり、
急に静かな一角に入る。
少し迷って、反対側からのアプローチ。
おお!
あの店だ!あの暖簾だ!
坂の上からまず一枚、カシャッ。店の斜め前からカシャッ!
ここに~~きてたかも~☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
自然と頬が緩む。
開店直後の居酒屋に、お客の影はなし、
うーっむ、清潔そうだし、落ち着けそうな雰囲気だし
ちょっと待ち合わせっぽく入ってみるか……
学生アルバイトか、かわいいおねーさんがあちこち、磨いている。
カウンター席で、店全貌を見渡せる端に座る。
なーんと、女一人で、居酒屋で生ビールを注文してしまった。
そして、自慢料理は出汁巻き卵らしいので早速それを注文。
お通しで出てきたのは、たっぷりのキャベツ、白菜のサラダ。
グラスの生ビールは、手のひらサイズで、まさに小さい生ビール、だが青いグラスでこれまたおしゃれ。
出汁巻き卵は、見た目もきれいで、味もいいが、
ただ、卵を三つは使っているにちがいない、
…コレステロールがあーσ(^_^;)などと心配するようでは、
秘密結社Jの一員として女がすたる。
おいしく、完食!
ビールのあとに、プレミアムジンジャー梅酒をロックでもらい、一緒に水も。
少し甘いが美味。
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木のぬくもりを活かした内装で、落ち着くお店でした。
最後にいただいた羽根つきギョウザ、
また食べたいっす(^○^)
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女は
J と呼ばれる男の残像を瞼に、
ざわつく街を抜け帰路についた。
何年も昔から、この街には若い奴らが集まる。
かつて、自分もその中に居た事もあったと、横目で見ながら通り過ぎている。
しかし、彼女は過去に戻りたいとは思わない。
今は今。
J という人間をスクリーンを介して知ってから、
それまでの人生にはなかった、いやはるか昔にあったかもしれない、
ときめきと、そして、同時に尊敬をもってある男を見つめる喜びを得た。
(⌒▽⌒)
翌日、体重計に乗った女、
一週間で落としたウェイト、一日で戻る現実を知るのである。