
桜庭支配人の現場一直線 第八話
・もう一人の鬼
「もう3ヶ月も経ってるんですよ支配人、いい加減に情報あげてください。」
いよいよ来たか、支配人という立場を盾に 現場に入っているという言い訳をして
営業実績が無いことを許してもらっていたが、この後藤部長はそんなに甘くは無かった。

せっかくバンケットのおばちゃんたちと信頼の絆が出来たところで また営業にでて元も木阿弥にしたくはなかった桜庭は、2階のバンケットルームで井戸端会議に参加して正直に石原マネージャーに相談した。
「ダメね支配人、そんなことでもうめげているようじゃ。営業に出なくても、宴会に来ているお客さんに営業かければいいじゃないの。外に出るよりずっと効果的だと思うけど。私たちがその都度支配人を紹介してあげるわよ。」
この井戸端会議の方が桜庭の営業会議といってよかった。そして 桜庭の営業はもっとも身近な社内のバンケットのおばさんたちの援助によって開かれた。

