崖上のスパイ(張 芸謀監督作品)を見ながら昔を思い出した。③
1930年代ハルピン(この当時の街並みが多分CGだと思うが実にうまくできている。)が舞台になってるから当然その時代の政治勢力が出てくるはずであると思ってみていた。そこに何らかのメッセージがあるはずだと思って見ていた。しかし一番最初にごく小さく日本軍という言葉が出てくるだけで、あと一切出てこない。日本軍だって言葉だけで実物は登場しない。ソ連という言葉も出てくるが実物は出てこないしそこで訓練を受けたという設定だけで、毀誉褒貶しているわけではない。単に面倒なことを避けたとみることもできるが、この一切触れないという姿勢がメッセージではないのかといろいろ考えてみるけどよくわからない。
お話変わって映画Star warsはお子様向けのファンタジーだと思って全部を見たわけではありません。しかし、その一番最後で巨大な宇宙船が燃え尽きるシーンに多分ワグナーの神々の黄昏が歌われています。なんでここでこの北欧神話が歌われるのかとか、これはヒットラーが大好きでかつなくなる直前に聞いた曲ではないのかとかを思い合わせると何らかの作者のメッセージが込められているはずと考えられます。多分全編を見てかつ西洋思想や西洋史に詳しい人ならわかるんだと思います。お子様向けとか思わないで全編真剣に見ておけばよかったと反省することしきりです。
大昔にパールハーバーというB級の映画がありました。(はじめA級のつもりだったんでしょうが失敗したとみられます。)この中で昭和17年に東京に飛来するアメリカ軍の爆撃機のパイロットが出てきます。昭和17年当時は多分空母から出撃して、帰還できないから中国に着陸するのですがこのパイロットが飛行機に乗る前に「中国で会おう」と語り合う場面がやたらに強調されています。日本の頭上を越えて中国へ行こうというのですから、目的は日本ではなく中国であると言っているようなものです。ということは、当時のアメリカの志は中国にあって日本にはなかったということではなかったかと想像できます。当時の日米は単に植民地の取り合いをしていただけではないのか。(思想信条の違いによる戦争とじは後でつけた理屈ではないか。)当時の日本は一撃で講和に持ち込めると睨んだろう。あとになってから鬼畜米英とかのキャッチフレーズを並べ立てたのでわからんようになった。
会社経営しててこらあかんとなったら前の経営陣やめてもらうことで何とでもなる。けど軍隊の場合はお互い鉄砲持ってるからこらあかんとなっても戦争継続派、もう止めや派で内戦になるのは必至であるから内戦を避けるためにこんなあほらしいキャッチフレーズひねったりするんやなというようなことを考えながらこの駄作の映画を見た記憶がある。
崖上のスパイは大変な力作でここにも何らかのメッセージがありそうだけどそれが何であるのか今のところさっぱりわからない。