小説 徐福と童男童女3000人の子孫⑳
ご主人の長いお話もやっと終わりました。店にはご主人の言った通り中国の観光客で満員になりました。徐福は日本に小王国をつくるのみならず、地獄の鬼や閻魔さんも放逐し、生まれ変わって日本にほぼ独立した王国をつくり、さらには日本風極楽を作ってくださった。おシャカさんのもとで極楽生活というのは、言葉が果たして通じるのかとか極楽内権力争いは風習が違うので日本人には難しいのではないかとか、まさかと思うけどすべての料理がカレー味になってないかとかいろいろ心配がありました。しかし、お大師さんのもとにある和風極楽なら今の生活の延長でやっていけます。
それでもなお心配があります。お大師さんは日に二回御飯が提供されていますが、そのもとに赴いた我々には出るんでしょうか。本場の極楽は想起しただけでご馳走が出ると聞いています。それではお釈迦さんも含めてみんな空腹に悩むことは無いと思いますが、わが和風極楽ではお大師さんだけが食べてそのもとに集う我々はお彼岸にお供えしてもらうわずかな食物だけということになってしまいます。
冗談はさておき、私どもはお大師さんばかり尊敬していあんなふうになりたいと思ってお守りを持ったりお祈りをしたりしていますが、その前身である徐福はホンの一行しか書かれていません。それは気の毒です。もっとその壮大な人生を小説なり映画なり今ならコミックにして語り継ぐべきだと思います。逼塞した状況からどうやって盛り返して生きていくかを語る物語として徐福は必要だろうと思うのです。
わらしべ長者も三年寝たろうも、同じような意図で人々に愛された物語でしょう。そのうちの一つとして徐福は必要な物語だと思うのです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます