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『孟子』巻第七離婁章句 六十六節 六十七節

2017-09-18 10:17:02 | 四書解読
六十六節

孟子は言った。
「人は皆世の中を論じるとき、常に天下国家という言葉を口にする。だが、天下の本は国に在り、国の本は家に在り、家の本はわが身に在るのだ。」

孟子曰、人有恒言。皆曰、天下國家。天下之本在國、國之本在家、家之本在身。

孟子曰く、「人、恒の言有り。皆曰く、『天下國家。』天下の本は國に在り、國の本は家に在り、家の本は身に在り。」

<解説>
趙岐の章指に云う、天下国家は、各々其の本に依る。本正しければ則ち立ち、本傾けば則ち踣(たおれる)る。常に言を曰うと雖も、必ず須らく敬慎すべきなり。

六十七節

孟子は言った。
「政治は難しいものではない。譜代の重臣から怒りや恨みを受けて罪を得ることのないようにすることだ。重臣たちが敬愛する所の君主は、全国民も敬愛する。その国の民が敬愛するような君主は、天下も敬愛する。かくして、その君主の徳による教化は、勢いよく流れて溢れだす水のように天下に満ちあふれるようになるであろう。」

孟子曰、為政不難。不得罪於巨室。巨室之所慕、一國慕之。一國之所慕、天下慕之。故沛然德教溢乎四海。

孟子曰く、「政を為すは難からず。罪を巨室に得ざれ。巨室の慕う所は、一國之を慕う。一國の慕う所は、天下之を慕う。故に沛然として德教、四海に溢る。」

<語釈>
○「巨室」、朱注:巨室は世臣の大家なり。その国の中心的な譜代の卿大夫。○「巨室之所慕」、君主を指す。○「一國」、君主に対する語として、国民の意に解す。

<解説>
この政治を為す者の主体は誰かで、議論が分かれているらしい。安井息軒氏は他国から来た者や身分の低い者から抜擢された者を戒める為の文章であるとする。私は文全体から考えて、君主であると理解した。