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『人間の檻―獄医立花登手控え〈4〉』 藤沢周平

2025年01月05日 12時40分34秒 | ■読書
藤沢周平の連作時代小説『人間の檻―獄医立花登手控え〈4〉』を読みました。
『麦屋町昼下がり』、『春秋の檻―獄医立花登手控え〈1〉』、『風雪の檻―獄医立花登手控え〈2〉』、『新装版 愛憎の檻―獄医立花登手控え〈3〉』に続き、藤沢周平の作品です。

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ドラマ化もされた傑作シリーズ最終巻!
藤沢周平の代表的時代連作集「立花登」シリーズ全4巻の最終巻。

医者になる夢を叶えるべく江戸に出た登を迎えたのは、はやらない町医者の叔父と、口うるさい叔母、驕慢な娘ちえ。
居候としてこき使われながらも、叔父の代診や小伝馬町の牢医者の仕事を黙々とこなしている。
死病に憑かれた下駄職人の彦蔵が「30年前に子供をさらった」と告白する。
その時子供を2人殺したという相棒によく似た男を、登は牢で知っていた――。
起倒流柔術の妙技とあざやかな推理で、若き青年医師が、獄舎にもちこまれるさまざまな事件を解いていく。
『人間の檻』には、「戻って来た罪」「見張り」「待ち伏せ」「影の男」「女の部屋」「別れゆく季節」の6篇を収録。医師としての理想を模索しつつ、難事に挑む登の姿が胸を打つ完結篇。
解説・新見正則(医師)

1982年に中井貴一主演で連続ドラマ化。
そして2016年春に溝端淳平主演で、NHK BSプレミアムにて連続ドラマ化。
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講談社発行の月刊小説誌『小説現代』の1982年(昭和57年)4月号から1983年(昭和58年)2月号に『青年獄医立花登』というタイトルで連載された後、1983年(昭和58年)に改題して刊行された作品、、、

叔父・小牧玄庵を頼り東北の小藩から江戸へやってきて伝馬町牢屋敷にて獄医を務めることとなった若い医師・立花登が、囚人たちにまつわる事件を得意の柔術と推理で次々に解決していく姿を描く、獄医立花登手控えシリーズの第4作(最終作)です。

 ■戻って来た罪
 ■見張り
 ■待ち伏せ
 ■影の男
 ■女の部屋
 ■別れゆく季節
 ■解説 新見正則

病気の亭主に代って、店を取り仕切る女房おむらに挑みかかった槌屋彦三郎の頸をしめた手代新助は、情状を汲まれて八丈遠島と決まった……新助の身を案ずるおむら、、、

一件落着と見えた事件の裏には、匂うような女の性が(『女の部屋』)……颯爽、柔の冴えで悪に挑む好評シリーズ・獄医立花登手控え、ここに完結!

獄医立花登手控えシリーズの最終巻……第1作から第4作まで、正月休みに一気読みしちゃいましたね。

そんな中でイチバン印象に残ったのは『待ち伏せ』でしたね……立て続けに襲撃され負傷した3人の男のつながりは東の大牢にいたことだった、、、

次に東の大牢から出牢した馬六は出牢直後に襲われ、その場に登が駆けつけたことで軽傷で済んだが、用心して娘の嫁ぎ先である多田屋に移ることになったが、その多田屋で馬六が見たものは……アガサ・クリスティの某名作に近い展開でしたが、ミステリ色が強くて愉しめましたね。

最終話の『別れゆく季節』では、過去の事件(第3作収録の『奈落のおあき』)に絡んで、捕らえられた黒雲の銀次の残党から、登だけでなく、情婦の伊勢蔵を密告し、現在は豆腐屋の女房となったおあきが狙われるという展開……最終話っぽく、シリーズでの主要な登場人物が活躍するエピソードでしたね、、、

事件解決後、獄医を辞し叔父の紹介により蘭医学の勉強のために大坂に向かうことに……ちょーっと、あっさりした幕引きだったかなー 物足りない印象ですが、このさり気なさが藤沢周平作品らしいところかも。

従妹のおちえとの距離は最接近……もう許嫁といっても過言ではないですねー 口やかましい叔母・松江の登に対する態度や扱いの変化もコミカルで面白かったなぁ、、、

これでお終いなのは残念ですね……大坂で修行して帰ってきてからの続篇があってもイイんじゃないかなー と思います。
コメント
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