じゅうのblog

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『ボックス21』 アンデシュ・ルースルンド、ベリエ・ヘルストレム (著),ヘレンハルメ美穂(翻訳)

2025年02月09日 18時34分56秒 | ■読書
スウェーデンの作家アンデシュ・ルースルンドとベリエ・ヘルストレムの共著の長篇ミステリ作品『ボックス21(原題:Box 21)』を読みました。
アンデシュ・ルースルンドとベリエ・ヘルストレムの共著は6年前に読んだ『三秒間の死角』以来なので久し振りですね。

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暴行事件の「被害者」が取った不可解な行動。病院に立てこもった彼女の目的とは――?
〈このミステリーがすごい! 第一位〉の『熊と踊れ』著者が、大反響の『制裁』に続けて放つ、北欧警察小説の真骨頂!

リトアニア人娼婦のリディアは斡旋業者から激しい暴行を受け、病院へと搬送された。
意識を取り戻した彼女は突如思いがけない行動に出る。
医師を人質に取り、地階の遺体安置所に立てこもったのだ。
同院内で薬物依存患者の殺人事件を捜査していたグレーンス警部は、現場で指揮を執ることになるが……。

果たしてリディアの目的は? そして事件の深部に秘められた、あまりにも重い真相とは何か? 大反響の北欧ミステリ〈グレーンス警部〉シリーズ第二弾
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本作品はストックホルム市警のエーヴェルト・グレーンス警部とスヴェン・スンドクヴィスト警部補が活躍するシリーズの第2
作……2005年(平成17年)に発表された作品です、、、

本シリーズを読むのは、第1作の『制裁』、第3作の『死刑囚』、第5作の『三秒間の死角』に続き4作品目……重いんですけど、本作も物語として愉しめました。

強制売春の被害者が起こした思いもよらぬ事件……グレーンス警部が直面する北欧の闇とは? スウェーデン警察小説シリーズ第2作。

冷夏のストックホルム、アパートの一室で鞭で打たれた意識を失った売春婦リディア・グラヤウスカスが発見される……同じ日、ヘロイン依存症の男ヒルディング・オルデウスが覚醒剤に洗剤を混ぜて売りマフィアの怒りを買うことに、、、

翌日、ふたりの軌跡がストックホルム南病院で交わる……恥辱を晴らそうとするリディア、恥辱で薬を忘れようとするヒルディング、そして残虐な暴行殺人事件と、医師を人質に取った立て籠もり事件が同時に起こる というサスペンスフルな展開なのですが、旧ソ連や東欧からの女性の人身売買・強制売春や麻薬中毒、目撃者の証言を覆い隠すための暴力や脅迫等の社会問題、社会の病理がリアルに描かれており、テーマとしてはとても重たい作品でしたね。

印象的だったのは衝撃的な結末……読みながら「もしかして」という予感はあったのですが、まさかと思っていた不幸な予感が的中しちゃいました、、、

ハッピーエンドで終わらないところにリアリズムを感じましたねー エーヴェルト・グレーンス警部やスヴェン・スンドクヴィスト警部補の決断については、賛否両論意見が分かれる部分だと思います……この展開に驚き、憤りを感じつつ、これが現実なのかなー とも感じました。

本シリーズ、他の作品もぜひぜひ読みたいです。
コメント
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