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『密室蒐集家』 大山誠一郎

2025年02月23日 22時42分16秒 | ■読書
大山誠一郎の連作ミステリ作品『密室蒐集家』を読みました。
大山誠一郎の作品は、昨年12月に読んだ『記憶の中の誘拐 赤い博物館』以来ですね。

-----story-------------
本格ミステリ大賞受賞、究極の密室ミステリ!
消え失せた射殺犯、密室から落ちてきた死体、警察監視下で起きた二重殺人。
密室の謎を華麗に解く名探偵登場。
これぞ本格ミステリ!
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密室蒐集家シリーズの作品を収録して2012年(平成24年)に刊行された作品です。

 ■柳の園ー一九三七年
 ■少年と少女の密室ー一九五三年
 ■死者はなぜ落ちるー一九六五年
 ■理由ありの密室ー一九八五年
 ■佳也子の屋根に雪ふりつむー二〇〇一年
 ■解説 千街晶之

鍵のかかった教室から消え失せた射殺犯、警察監視下の家で発見された男女の死体、誰もいない部屋から落下する女……名探偵・密室蒐集家の鮮やかな論理が密室の扉を開く、、、

これぞ本格ミステリの醍醐味! 物理トリック、心理トリック、二度読み必至の大技……あの手この手で読者をだます本格ミステリ大賞受賞作。

収録作の時代背景は1937年(昭和12年)、1953年(昭和28年)、1965年(昭和40年)、1985年(昭和60年)、2001年(平成13年)と異なりますが、その全てに登場するのが密室蒐集家と称する人物……警察が頭を悩ませるような難解な密室事件が起きると、日本全国どこにでも忽然と現れ警察内部では伝説と化しており、本名不詳、外見は30歳前後の男性だが歳をとらないのか、どの時代でも同じ外見をしている という、明らかに普通の人間ではない名探偵が謎を解き明かすシリーズです、、、

女子高生がカーテンの隙間から目撃している中、音楽室で教師が射殺されたが、現場は密室状態だった『柳の園』、

高校生の男女の刺殺死体が発見されるが、その家は闇煙草の取引が行われているため警察に監視されていた家の隣家で、犯人が現場に出入りすることは不可能な状態だった『少年と少女の密室』、

別れ話をしていた男女が、窓の外を墜落してゆく女性を目撃……墜死した女性には背中に刺し傷があって明らかに他殺なのだが、被害者の部屋は内側から施錠され密室状態だった『死者はなぜ落ちる』、

密室で発見された被害者は自宅の鍵を飲み込んでいた……密室を作ったかというホワイダニットの要素を推理する『理由ありの密室』、

自殺を図った佳也子は医師に救われたが、その医師が自宅で殺害される……現場の外に積もった雪には訪ねてきた刑事以外の足跡が存在せず容疑者は佳也子しかいない状態だった『佳也子の屋根に雪ふりつむ』、

と、バリエーションに富む密室事件の謎解きが愉しめましたね……ミスリードが巧妙、見破るのは困難で叙述トリックに心地良く騙された『少年と少女の密室』がイチバン印象に残りましたね。

『柳の園』と『理由ありの密室』の48年を経た再会も印象的でした……『死者はなぜ落ちる』も面白い仕掛けでしたが、やや偶然性が強すぎる印象、『佳也子の屋根に雪ふりつむ』は、密室ネタで良く使われる雪のうえに残った足跡に関する謎解きで、良くできた秀逸なトリックだと感じましたが、こちらも偶然性が強い面があるのと、時間軸の部分がわかり難いのが気になりましたね、、、

ちょっと気になる点はありましたが、どの作品もレベルが高く愉しめました……ぜひ、シリーズ化してほしい! 続篇を期待しています。
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