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2010年の日本映画。村上春樹原作、監督はトラン・アン・ユン。出演は松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子。
この小説で食事の場面はというとあまりにも有名すぎて書くのも憚られるのだが、やはり小林緑が作る関西風の料理だろう。だからこの映画の場合は目当ての食事の場面は確かにあったが描写不足ということになるか。夜の大捜査線のチーズバーガーは会話だけでそれを想像させてくれたのに。
原作の小説は1987年に刊行されたときに買って読んだ。ワタナベが小林緑の家に行って食事をする場面はとても鮮やかに覚えている。そこばかり覚えているというのが本当かも。
『緑の料理は僕の想像を遥かに越えて立派なものだった。鯵の酢のものに、ぼってりとしただしまき玉子、自分で作ったさわらの西京漬、なすの煮もの、じゅんさいの吸物、しめじの御飯、それにたくあんを細かくきざんで胡麻をまぶしたものがたっぷりとついていた。味つけはまったくの関西風の薄味だった。』
それで松山ケンイチ(ワタナベ)が水原希子(小林緑)の家を訪れ水原希子の手料理を振る舞われる場面を注視していたのだがあっさり映像が流れてしまった。目を凝らせばだしまき玉子とさわらの西京漬らしきもの、中央の鉢はなすの煮ものか、お椀はじゅんさいの吸物、と見える。たくあんを細かくきざんで胡麻をまぶしたものはどこだろうか。きっと全部準備してテーブルに並べていただろうに。もう少し映してくれれば良いものを。それだけでかなり減点。
それと、なんだろう? 映像自体が湿っぽい。PG12指定なんだけど、そんな場面入れる必要もない。村上春樹の読者でこの映像を想像していた人って多いのだろうか。もっと淡々と乾いた映像で良かったんじゃないかと思う。
(2014年8月)