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モディリアーニ《髪をほどいた横たわる裸婦》 - 祝開館、大阪中之島美術館

2022年01月28日 | 西洋美術・各国美術
 2022年2月2日、大阪中之島美術館が開館する。
 1983年に美術館構想が発表されてから約40年、1990年に美術館建設準備室が設置されてから約30年、ついに念願の開館を迎えることとなる。
 なお、初代館長の菅谷富夫氏は、1992年に建設準備室の学芸員となってから本美術館一筋で30年やってこられた方であるそうだ。
 
 そこで、大阪中之島美術館の西洋美術コレクションより1点。
 
 
モディリアーニ
《髪をほどいた横たわる裸婦》
1917年、60.0×92.2cm
大阪中之島美術館
 
 
 このモディリアーニは、大阪中之島美術館の西洋美術コレクションの目玉作品。
 1989年に、大阪市が19.3億円で購入。
 この額は、当時の欧米の競売でのモディリアーニ最高額10.2億円を大きく上回っていた。
 ちなみに、この額に近いモディリアーニ作品が現れるのは、あくまでも円換算であるが、10年後のことだから、当時としては高値だったと言えるのだろう。
 
 
 本作品は、日本に最も早く入ったモディリアーニ作品だと考えられている。
 画商・美術評論家である福島繁太郎がパリで購入し、日本に持ち帰って、1934年に公開。
 1938年に、芦屋の実業家で美術蒐集家である山本發次郎が福島より7,700円で購入。戦火を越えて山本家が所蔵してきたが、1983年に西武百貨店に13.5億円で売却。西武百貨店が大阪市に売却する。
 なお、1983年には山本發次郎のコレクション約600点が遺族より大阪市に寄贈されている。高僧の墨蹟や佐伯祐三31点などの近代洋画を含む凄いコレクションであるらしい。
 
 
 モディリアーニの裸婦画は40点ほどあるらしい。制作時期は、画商ズボロフスキーの支援を受けて「近親者や友人たちの肖像画以外の主題を描くことが可能になった」1916〜17年に集中している(横たわる系22点、座る系13点)という。
 
 そのモディリアーニの裸婦像の高額落札が、数年前にニュースになった。
 Wikipedia「List of most expensive paintings」を見ると、100点超の絵画が掲載されているが、そのうちモディリアーニ作品は4点あって、その全てが1916-17年制作の裸婦像である。
 
 
モディリアーニの高額な絵画ランキング
 
1位:17,040万ドル(約210億円)
   -2015.11.9  クリスティーズ
《横たわる裸婦》
1917〜18年、60×92cm
 
 
2位:15,720万ドル(約173億円)
   -2018.5.14  サザビーズ
《横たわる裸婦》
1917年、89×146cm
*2003年競売時は2,690万ドル。
 
 
3位:11,800万ドル(約100億円)
   -2012年 個人売買
《青いクッションの上の横たわる裸婦》
1916年、60.1×92.1cm
 
 
4位: 6,896万ドル(約56億円)
   -2010.11.2 サザビーズ
《安楽椅子の上の裸婦》
1917年、100×65cm
*1999年競売時は1,680万ドル。
 
 
 1〜2位の額は、若くして亡くなり作品数が少ない作家の、しかも代名詞とも言える裸婦像ということで、ヒートアップして、極端に走ってしまったのかもしれない。
(3位の額は、美術業界の裏事情があるようだ。関係者があのダ・ヴィンチ《サルバトール・ムンディ》と共通しているようなので。)
 
 大阪中之島美術館のモディリアーニも100億円超?
 と囃したくなるところだが、作品の質/格も勘案する必要はあろうが、1〜3位の額は異常値で、4位の額を参考に想像するのが妥当だろうか。勝手な想像だが。
 
 
 
参考:224万ドル(3.6億円)
   -1985年、NYの画廊より購入
《おさげ髪の少女》
1918年頃、60.1×45.4cm
名古屋市美術館
 
 
参考:約6万ポンド(51百万円)
   -1969年 クリスティーズ
《若い農夫》
1918年頃、73.4×50.3cm
アーティゾン美術館


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