数年前にネットで話題になったらしい1枚の絵。
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フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー
《期待》
1860年頃、81.1×63.2cm
ノイエ・ピナコテーク
何か小さな四角いものを両手で持ってそれを見つめながら歩いている少女。
この姿が160年前の歩きスマホに見えるということ。
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少女が持っているのは讃美歌集。
夏の日曜日の朝、教会への行き帰りであろうか。
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少女が気付いていない道の先には、バラを持って身を隠しているひとりの少年。その足下に描かれたピンクのものもバラなのだろうか。
この次に、どんなドラマが展開されるのか「期待」。
作者フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー(1793〜1865)は、オーストリア帝国のビーダーマイヤー時代を代表する画家(身の回りの小世界を描くロココ趣味的なウィーンの画家)の一人。
肖像画、オーストリアの風景を描いた風景画、田舎の農民たちの平凡だが満ち足りた生活を描いた風俗画などで知られるようである。
日本でも、私の認識の範囲では、2019年の国立新美術館「ウィーン・モダン」展にて1節を設けて風景画5点が、同じく2019年のBunkamura「リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」にて風景画2点と花の静物画2点が紹介されている。
私にとっては、この作品の作者として強く印象づけられている。
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フェルディナント・ゲオルグ・ヴァルトミュラー
《窓辺の若い農婦とその子供》
1840年、84.6×67.5cm
ノイエ・ピナコテーク
窓辺から顔をのぞかせる若い母親と三人の可愛い子供たちの満ち足りた表情。父親が外から写真撮影したという感じ。窓の木の枠のだまし絵的な描写にも注目である。