東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

浄瑠璃物語絵巻(MOA美術館)

2012年04月15日 | 展覧会(日本美術)

絢爛豪華 岩佐又兵衛絵巻(2期)浄瑠璃物語
2012年4月6日~5月9日
MOA美術館


山中常盤物語絵巻にたいへん驚いたので、第2期の浄瑠璃物語絵巻も行ってきました。

 

まず、展示方法について。
山中常盤物語絵巻が、全12巻で、1巻が約12.5メートル。
浄瑠璃物語は、全12巻で、1巻が10.28~11.81メートル。
1巻あたりの長さが違いますが、並べ方は、山中常盤物語絵巻と全く同じでした。


具体的には。
山中常盤は、全12巻公開。展示室のスペースの都合で、全巻フルオープンではありません。
フルオープンは、第1巻、第3巻、第9巻で、実質フルオープンが第10巻。それ以外は、5割から8割程度の公開。


浄瑠璃は、全12巻公開。
フルオープンは、第1巻、第3巻、第9巻+第10巻(長さの違い)。それ以外は、5割から8割程度の公開。


山中常盤のクライマックスといえば、牛若丸の母親である常盤が死ぬ第4巻・第5巻、それから牛若丸が仇を討つ第9巻・第10巻だと思います。
第9巻・第10巻はフルオープンで、血なまぐささ・残酷さ満載の活劇を存分に味わえました。
一方、第4巻・第5巻は、主要場面は公開されているのでしょうが、いくつかの場面は公開されず、ちょっと残念でした。


さて、浄瑠璃です。
最初のクライマックスは、牛若丸が浄瑠璃を口説く場面がひたすら続く、本当に延々と続く第4巻と第5巻なのでしょう。
大きな動きはありません。超細密で、まさしく「絢爛豪華」というべき描写が連続します。
ただ、いくつかの場面が公開されていません。会場の入口に、絵巻の部分拡大写真があります。そのなかには今回公開の対象から外れた場面も(本場面も含め)あるので、お見逃しなきよう。


次のクライマックスはどこかというと、特にありません。淡々と進みます。


第6巻の牛若丸が姿を消す場面。最初は、牛若丸の部分だけが退色したのかと思いました。
第9巻~第11巻では、大蛇、雷神、大小の烏天狗といった怪奇登場という工夫が見られます。
第9巻・第10巻はフルオープンの対象なので、全場面を見れますが、怪奇登場とはいっても、特に興味をひくほどではありません。


第12巻の最後でちょっとびっくり。浄瑠璃の母親が簀巻きにされて川に沈められる場面。
まさに簀巻きにされようとしている母親の描かれ方。服を剥ぎ取られ表情を歪める女性。絶世の美女であるはずの浄瑠璃の母親とは到底思えない、罪人としての描かれ方。
牛若丸の指示によるものでしょうか、浄瑠璃を責めて家から追い出したことで結果的に死に追いやったことへの復讐です。ひどい描かれ方です。


結構楽しめました。次の第3期の堀江物語にも行くつもりです。 



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。