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「100年前の東京と自然 - プラントハンター ウィルソンの写真から -」展(国立科学博物館)

2019年05月20日 | 展覧会(その他)
100年前の東京と自然 - プラントハンター   ウィルソンの写真から -
2019年4月13日〜6月16日
国立科学博物館(日本館地下1階多目的室)
 
 
「もし写真や標本で記録を残さなかったならば、100年後にはその多くは消えてなくなってしまうだろう。」
(アーネスト・ヘンリー・ウィルソン 1920年)
 
   本展は、アーネスト・ヘンリー・ウィルソンが、100年前の大正初期に東京および近県で撮影したサクラ、イチョウ、フジなどの植物のある風景写真を、その写真と同じアングルから撮影した現在の写真とともに紹介するもの。
   東京の100年前の姿と現在の姿との見比べである。
 
 
   アーネスト・ヘンリー・ウィルソン(1876〜1930)は、英国人で、主にアジアで活動したプラントハンターとしても知られる植物学者。
   彼は、ハーバード大学アーノルド樹木園の支援を受け、1914〜1919年の間に2度日本を訪れて採集旅行を行う。第一次世界大戦中ですね。1度目は屋久島から北海道・樺太まで足をのばし、2度目は沖縄諸島・小笠原諸島・朝鮮半島・台湾を巡る。屋久島の胸高周囲13.8mの屋久杉の切り株を欧米に紹介(ウィルソン株としてその名を残す)したり、ソメイヨシノが交雑種であるという仮説を発表したりしている。採集した植物標本は5000点余、撮影した写真は1300点余。
 
   当時の日本は、日清・日露戦争で勝利し領土を拡大し近代化の道を突き進んでいる。東京の風景から江戸の名残が姿を消し、欧米風の帝都が作られていく。ウィルソンは「余りに先を急ぎ過ぎている」と嘆く。
   それから100年、関東大震災とその復興、東京大空襲とその復興、1964年の東京オリンピックと高度成長期、バブルとその崩壊を経て、2回目の東京オリンピックを来年に控える現在。
 
 
   本展で取り上げられる風景写真は、東京+近県であるが、東京に限定して撮影場所を記載する。
 
小金井堤(小金井市) 
皎月院(八王子市) 
浄福寺(八王子市) 
王子神社(北区) 
高円寺(杉並区) 
目黒不動尊(目黒区) 
蒲田菖蒲園(大田区) 
小石川植物園(文京区) 
神田川・中之橋(新宿区) 
駐日英国大使館前(千代田区) 
芝公園(港区) 
善福寺(港区) 
吉祥寺・本駒込(文京区)
谷中霊園(台東区) 
寛永寺・上野公園(台東区) 
吾妻橋・サッポロビアガーデン大名屋敷跡(墨田区) 
靖国神社(千代田区)
日比谷公園(千代田区)
 
   撮影された植物は、現存、現存(推定)、現存しない・異なる植物が生育していると推定、の3つに分けられる。当時の写真に必ずいる大きさ比較用の人物が気になるのはともかく、当時と現在の東京の姿の変貌ぶり、その中でも樹木が残っていることの凄さに感心する。
 
 
   展覧会チラシより2地域
 
 
 
 
   常設展示入館料で観覧可。展示室内撮影禁止。
 
   第二会場(地球館1階オープンスペース、かなり離れている)では「ウィルソンが見た鹿児島・沖縄」と題し、鹿児島・沖縄のウィルソンの100年前の写真と現代の写真が展示。


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