大英博物館展-100のモノが語る世界の歴史
2015年4月18日~6月28日
東京都美術館
4/18開催の「大英博物館展ナイト」に参加させていただいた。
以下、印象に残ったモノを記載する。
第1章:想像の芽生え(12点)
200万年前-紀元前2500年
001≪オルドヴァイ渓谷の礫石器≫
200万-180万年前、タンザニア・オルドヴァイ渓谷、大英博物館蔵
『大英博物館、最古のモノ』。アフリカ発掘の200万年前のモノ。
このモノを使って、動物の骨を割り、骨髄のなかの脂肪を取り出して食糧としていたらしい。
状況証拠はあるのだろうけれど、これが自然のなした石ではなく、また自然の石をそのまま使ったのでもなく、人類の手が加わった道具であるとよくわかるものだと感心する。
003≪トナカイの角に彫られたマンモス≫
1万4000-1万3500年前、フランス・モンタストリュック、大英博物館蔵
時は一挙に進んで、『最初期のアート』。
ヨーロッパで最初に具象芸術が現れたのが4万年前で、それから2万5千年後、投槍器のかぎ状の先端部としてマンモスの形をした彫刻が作られる。立派なアートである。
007≪鳥をかたどった乳棒≫
紀元前6000-前2000年、パプアニューギニア・オロ州、大英博物館蔵
003以降、アメリカ、オーストラリア、日本と続き、次に登場するのが『最初期の料理道具』。
現代に続く野菜や穀物の大半は、1万年ほど前に栽培が始まったという。
このモノは、タロ芋をつぶすために作られ、かなりすり減っている部分があることから頻繁に使用されたらしいとのこと。
010≪カルパトス島の女性像≫
紀元前4500-前3200年、ギリシャ・カルパトス島、大英博物館蔵
『大英博物館最古のギリシャ彫像』。顔、乳房、陰部が目立つように作られている。
これがのちにミロのヴィーナスや、サモトラケのニケ(ルーヴル所蔵作ばかりで恐縮です)に発展するのか、と感心する。
第2章:都市の誕生(9点)
紀元前3000年-前700年
013≪ウルのスタンダード≫
紀元前2500年頃、イラク、大英博物館蔵
本展の目玉の一つ、『大英博物館の有名な謎の「箱」』。1920年代にシュメール人の都市ウルの王家の墓の中から発見。本来の用途は不明。
「戦争」面
「平和」面。
015≪メソポタミアの大洪水伝説を語る粘土板≫
紀元前700-前600年、イラク、大英博物館蔵
『「ノアの箱舟」より古い「洪水」の記憶』
アッシリアの王の図書館跡から出土。楔形文字により、世界最古の文学作品「ギルガメッシュ叙事詩」の一節が彫られている。
1872年の本文字翻訳当時、「ノアの箱舟」と話が酷似しているため、なんでも聖書の内容の信憑性に根本的な疑問が生じさせたという。どうしてそんな話につながるのか、その世界はわからん。
第3章:古代帝国の出現(10点)
紀元前700年-後100年
025≪金製のゾロアスター教徒像≫
紀元前500-前400年、タジキスタンとアフガニスタンの国境にあるオクソス川近く、大英博物館蔵
学生時代に世界史の授業でその名を知って以来気になっている「ゾロアスター教」。いまだに「拝火教」「善悪二元論」という2つの言葉の表面的な意味以上に知識を持っていない。
このモノに直接的に語らせようとしているのは、「ゾロアスター教」ではなく、『宗教にも文化にも寛容な帝国』であるアケメネス朝ペルシャ(紀元前550年-前350年)である。
027≪ロゼッタ・ストーン(レプリカ)≫
オリジナルは、紀元前196年、エジプト、エル・ラシード、大英博物館蔵
『古代エジプト文明解読の鍵』。本展のような展覧会には、ロゼッタ・ストーンは外せない。なのでレプリカ展示(本展では唯一)。
第4章:儀式と信仰(11点)
1-800年
036≪アラビアの手形奉納品≫
100-300年、イエメン、大英博物館蔵
『イスラーム以前の神への「手」がかり』。ブロンズ製の奉納品。
小指に骨折したと思われる形跡があること、爪が不自然に窪んでいることから、本物の手から鋳型を取ったと思われるとのこと。
刻まれた文字は、神に幸運を祈るもので、寄進者の名前もあるとのこと。鋳型のもとは寄進者なのか。
以上、前半の第1~4章で9点。
実物を見ながらいろいろと想いを馳せるのは、拙いレベルとはいえ楽しい。
後半の第5~8章は、後日記載したい。
※会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。