東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

快慶展(奈良国立博物館)

2017年05月24日 | 展覧会(日本美術)

快慶
日本人を魅了した仏のかたち
2017年4月8日~6月4日
奈良国立博物館

 

   2017年春の関西プチ美術旅行。



   京都国立博物館を出て、徒歩で京阪七条、京阪特急で1駅の丹波橋にて近鉄急行に乗り換え近鉄奈良駅へ、徒歩で奈良国立博物館に向かう。

 

   快慶展である。

 

   快慶(?〜1223以前)は、鎌倉彫刻様式の完成に重要な役割を果たした仏師。運慶(?〜1224)とセットで日本史で覚えさせられた、日本美術史を代表するスーパースター。

 

   快慶の名前が付された作品は、これまで寺社仏閣や展覧会で何点か見てきたものと思う。

   何となくであるが、運慶の方がドラマチックで、快慶の方は静的なイメージを持っている。それで、運慶と快慶が同じ展覧会で並んでいたら、運慶の方ばかり見る傾向のある私。

   そのためか、快慶と作品とが全く結びつかない。といっても、運慶と作品とを結びつけられるかというと、そういう訳でもないが。

   そんなオンチの私であるが、一方展覧会好きの私としては、快慶展は是非とも行きたい展覧会であった。


   今回の展覧会は,これまで「運慶・快慶」とか「慶派」とか,グループの一員でしか取り上げられてこなかった仏師快慶の初の《大回顧展》ともいえる空前絶後の展覧会です。若い頃から晩年まで,快慶作の仏像の実に9割近くが一堂に会します。これまで運慶に比べて注目されてこなかった快慶ですが,この機会にその全貌と魅力があきらかになります。東京では開催しません。奈良でしか開催しません。是非,奈良国立博物館まで足を運んでください。

http://www.bunka.go.jp/prmagazine/rensai/bunkazai/bunkazai_035.html

 

 

   出品番号1番、会場トップに登場する京都・醍醐寺の重文《弥勒菩薩坐像》。一目惚れ。文句なく素晴らしい。これからは快慶といえばこの作品である。


   むろさん様からご推薦いただいたもう1点、京都・遣迎院の《阿弥陀如来立像》とその截金(きりかね)文様。似た感じの奈良・東大寺の《阿弥陀如来立像》とともに長く眺める。

 

   パネル紹介があった快慶の形式変遷(第一形式、第二形式、第三形式)。代表例として挙げられた3点の阿弥陀如来立像(第一:上述の京都・遣迎院蔵、第二:大阪・大圓寺像、第三:奈良・光林寺蔵)もよく見ておく。

 

   阿弥陀如来像の比率が高い印象。快慶出品作の何割だったろうか。14/37? 強調するほどでもないのかな。

 「巧匠アン(梵字)阿弥陀仏」と称したことからもわかるように、快慶は単に仏師として重源にしたがっていたのではなく、熱心な阿弥陀信仰者として造仏に臨んでいたことも見逃せません。彼が生涯をかけて追求した実在感と格調の高さを兼ねそなえた阿弥陀如来立像の姿は、後世「安阿弥様(あんなみよう)」と称され、来迎(らいごう)形阿弥陀の一典型としてながく受け継がれてゆきます。

http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2017toku/kaikei/kaikei_index.html

 

   ボストン、メトロポリタン、キンベルとアメリカの美術館からの出品もある。

 

 

   会場出口に、「本特別展とこの3か寺を巡れば、君も快慶マスター!!」と題するパネル。
   お隣の東大寺、奈良・桜井市の安倍文殊院、兵庫・小野市の浄土寺が紹介される。全て国宝。安倍文殊院の割引券付チラシが置いてある。2014年の東博「日本国宝展」で見かけた印象的な《善財童子立像》は快慶作だったのか。


   3か寺か。さすがに一つの特別展で実質全てをカバーという訳にはいかない。

 

   本展に何度か通ってもう少し何とかしたいところだが、奈良では無理。その分、今秋の東博「運慶展」をしっかり観たい。

 

 

   以上、2展の鑑賞で今回の関西プチ美術旅行は終了。次回は今秋か?

 

   私的に記録したいのは東京国立博物館パスポートの件。
   制度改正前の昨年夏に購入したパスポート。特別展訪問権利を有効期限までに行使しきれないのではないか、と懸念していたが、5月中に怒濤の3展分を行使。有効期限までに全6展分行使の見込みとなったことは喜ばしい。



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