生誕200年ミレー展-愛しきものたちへのまなざし-
2014年9月10日~10月23日
府中市美術館
8月の山梨県立美術館に引き続き、次の巡回先・府中市美術館に早速訪問。
冒頭の館長の挨拶文から
「日本は今日世界でも珍しいミレー愛好国に育ちました」
「画家の生誕200周年を飾るのにふさわしい場所と自負しています」
そうですよねえ、「珍しい」のですよねえ。
1814年10月2日生まれのミレー。そのちょうど200年後の10月2日。
新国立美のオルセー美術館展で代表作≪晩鐘≫が展示され(20日まで)、
府中市美で、ミレー地元の美術館(トマ=アンリ美術館)から24点も出品される、生誕200年回顧展が開催され(23日まで)、
さらに17日からとなるが、三菱一号館美で、ボストン美術館所蔵によるミレー展が開催される。
そんな記念する年に、日本で、しかも複数、展覧会が開催されることなんて普通ありえない。珍しい。
なお、10月17日~19日の3日間は、この3つの展覧会が同時開催されている日。大ミレー展巡りを敢行か。
本展は、肖像画3点からスタート。
≪寡婦ルミ婦人の肖像≫(妻の祖母)
≪古い服を着たポーリーヌ・オノ≫(妻)
≪アマン・オノ(画家の義兄弟)≫(妻の弟)
山梨会場にはなかった導入部。
山梨会場では、ポーリーヌ・オノの肖像画3点が並ぶ様が一番印象に残っており、もう一度見たいと思っていたので、いきなり肩透かし。
ただ、山梨会場の自画像・妻の肖像画の並ぶセクションと、妻の家族の肖像画が並ぶセクションとが、会場の都合で連続はしているけど離れたコーナーになっていたことを思うと、こうして家族のつながりを強調する展示も良いのかも。
第1章「プロローグ 形成期」
画家修業時代の作品10点。
第2章「自画像・肖像画」
自画像3点
妻の肖像画2点。特に亡くなる直前に描かれたという≪部屋着姿のポーリーヌ・オノ≫。「シェルブールのモナリザ」と言われているらしい。シェルブールは、トマ・アンリ美術館の所在地で、ミレーの故郷グリュシーより17キロほど離れた、ミレーが絵の修業を始めた街である。
画家の妻の家族の肖像。導入部登場以外では、妻の父、妻の弟(もう1点)、妻の母(?付き)。
2番目の妻をモデルとした作品など。
その他、注文肖像画では≪シェルブール市長の肖像≫。市から注文を受けたが、故人にもかかわらず市から十分な資料が提供されないまま、市長とはこういうものとの理想をイメージして仕上げたものの、市からは似ていないという理由で受取りを拒否され、落ち込んだ画家は結局市に寄贈してしまうという、残念な結果を迎える作品。
第3章 家族・生活
第4章 大地・自然
「農民画家」ミレーらしい作品が並ぶ。
≪食事の支度をする若い母親≫(ミネソタ大学ツイード美術館)
≪鶏にえさをやる女≫(山梨県立美術館)
≪子どもたちに食事を与える女(ついばみ)≫(リール美術館)
≪待つ人≫(ネルソン=アトキンズ美術館)
≪農民の家族≫(ウェールズ国立美術館)
≪牛に草を食ませる女≫(ブル王立修道院付属美術館)
≪クーザン村≫(ランス美術館)
などが印象的。
16時少し前からの相当遅い鑑賞開始だったが、結構観客がいる。今後、会期が進むにつれて、混雑が予想される。