館蔵品展
もっと魅せます!板橋の前衛絵画
シュルレアリスムとアブストラクト・アート
2024年8月22日~9月23日
板橋区立美術館
今年(2024年)の板橋区立美術館「シュルレアリスムと日本」展が良かったので、その続編のようなものを期待しつつの訪問。
本展は、館所蔵作品限定で、シュルレアリスムだけでなく、抽象美術も対象とする。作品の制作年代は、1920〜50年代が中心であるが、その後もあって、広め。
最初に、古沢岩美(1912-2000)の特集展示。
佐賀出身で、従軍と抑留生活を体験、長く板橋区に暮らした、戦争とエロスを描いた画家だという。東京国立近代美術館所蔵の《餓鬼》が印象的であるが、他は数点見たことがある程度。
本展示では絵画8点、陶芸5点と関係資料、加えて奥様の油彩1点が並ぶ。画家のインタビュー映像(作品解説)も。最も目立つ大型油彩《憑曲》1948年は、広島原爆をモチーフとする真っ赤な作品。
続いて、河辺昌久(1901-90)の《メカニズム》1924年を皮切りに、4章構成により、70点ほどのシュルレアリスム・アブストラクト作品が並ぶ。
撮影可能作品は6点。うち3点の画像を掲載。
末松正樹(1908-97)
《家族》1949年
井上照子(1911-95)
《まひる》1953年、《作品B》不詳
自分的に今ひとつ盛り上がらないなあ、と思っていたところ、一番奥の展示室に強烈な作品が。
芥川(間所)紗織(1924-66)
《女I I I》1955年(←画像の作品)
《女》1954年
漆原英子(1929-2002)
《CLOWN》1956年
芥川(間所)は東京国立近代美術館の常設展示で数点見て、強い色彩対比のポップな作品だなあ、と気になっていたが、本展の2作品によりその魅力に少し触れたような気がする。(油彩ではなく)染色らしい。ろうけつ染めを学んだらしい。
今年(2024年)は、芥川(間所)の生誕100年。
回顧展はないようであるが、全国の10美術館が、それぞれの所蔵作品により、常設展示(コレクション展)にて小企画を順次開催するプロジェクト「museum to museum 生誕100年記念 芥川(間所)紗織 軌跡を回顧する旅へ」を実施している。
10美術館のうち今週末(9/8)で5館が終了済。
開催中・開催予定の5館も、高松市美術館、国立国際美術館は無理、横須賀美術館も厳しいが、東京都現代美術館(MOTコレクション展)と東京国立近代美術館(MOMATコレクション展)には早々に行くつもり。
漆原は、初めて名を認識する作家。
東京都現代美術館(MOTコレクション展)での芥川(間所)の展示は、7名の女性作家の特集展示「竹林之七妍」のなかであるが、漆原も取り上げられているとのこと。木場公園行きの楽しみが増える。