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【後期再訪】「神護寺 - 空海と真言密教のはじまり」(東京国立博物館)

2024年09月09日 | 展覧会(日本美術)
神護寺 - 空海と真言密教のはじまり
2024年7月17日〜9月8日
東京国立博物館
 
 
 「神護寺」展の後期(8/14〜)を会期最後の週末に再訪する。
 
 後期後半の展示品は、空海筆の国宝《灌頂歴名》が退場(前期〜後期前半の出品)したこと以外は、後期前半と変わらない。
 国宝《灌頂歴名》があった場所では、最澄筆の国宝《御請来目録》が公開部分を増やし(おそらく)、フル公開になっている。長い。
 
 
【本展の構成】
 
序章 紅葉の名勝 高雄
1章 神護寺と高雄曼荼羅
 1節 草創期の神護寺 - 空海 -
 2節 院政期の神護寺 - 文覚、後白河法皇、源頼朝 -
2章 神護寺経と釈迦如来像 - 平安貴族の祈りと美意識
3章 神護寺の隆盛
 1節 神護寺に伝わった中世文書と絵図の世界
 2節 密教空間を彩る美術工芸品
4章 古典としての神護寺宝物
5章 神護寺の彫刻
 
 
【主に見たもの】
 お気に入りに特化して見る。
 
重文《弘法大師像》通期展示
鎌倉時代 14世紀
京都・神護寺
 
 神護寺の大師堂の本尊。一枚の板からの浮彫り。土佐国金剛頂寺(高知県室戸市)の空海像(現存しない)の模刻。
 その存在感に惹かれる。
 
 
重文《後白河法王像》後期展示
鎌倉時代 13世紀
京都・妙法院
 
 「目尻の下がった眼の形や皺、ふくよかで堂々とした顔の形、やや小ぶりに描かれる口元」を単眼鏡で見る。
 
 
国宝《両界曼荼羅(高雄曼荼羅)「金剛界」》後期展示
平安時代 9世紀
京都・神護寺
 
 大きいけれども、なんだか小さく感じるのは、前期展示の「胎蔵界」とのサイズ差によるもののようだ。
 
 2016〜22年の修復では、濃い紺色で裏打ちを行った。これにより、欠損が目立たなくなるとともに、一切金を書き足すことなく、金の線がはっきり見えるようになったという。
 確かに欠損部分は気にならない。それでいて、欠損部分がどこなのか認識できる。欠損部分が画面に占める割合は高い。
 距離が近い最下段の区画の金の線と、距離が最も遠い最上段の真ん中の区画の仏像の金の線を単眼鏡で見る。
 
 
国宝《釈迦如来像》(赤釈迦)後期展示
平安時代 12世紀
京都・神護寺
 
 赤い衣だから「赤釈迦」。
 衣の赤と輪郭線の赤、衣の截金装飾を単眼鏡で見る。
 
 
国宝《山水屏風》後期展示
鎌倉時代 13世紀
京都・神護寺
 
 現存最古のやまと絵屏風。密教の灌頂儀礼で用いられた用具。
 細部、主に小さく描かれる人物たちを単眼鏡で見る。3つの邸宅内の貴人の男女の姿もいいが、野外の庶民の姿、川に浸かっていたり、何かを採取して籠に入れてその籠を頭に乗せて歩いていたりする姿が楽しい。
 
 
国宝《五大虚空蔵菩薩坐像》通期展示
平安時代 9世紀
京都・神護寺
 
 寺では横一列に並べられているが、本展では、法界虚空蔵を中心に4体(金剛虚空蔵、業用虚空蔵、蓮華虚空蔵、宝光虚空蔵)を前後左右に並べる曼荼羅本来の整然とした配置としているとのこと。
 円形の展示台の周りを回って5像を見る。
 
 
国宝《薬師如来立像》通期展示
平安時代 8〜9世紀
京都・神護寺
 
 後期から光背と背後の白い幕が取り払われ、360度鑑賞が可能。
 「厳しい表情」を単眼鏡で見る。
 背中を見る。
 側面から両腿の張出しを見る。
 
 
 
 私は16時台の入場なので逃しているが、夜間開館日の17時以降の入場者への神護寺展「うちわ」プレゼントは、継続していたようだ(先着200名)。
 鑑賞の2順目で第1会場の最初の部屋に戻ると、部屋内のほとんどの人が手に、あるいはカバンの中にうちわを持っていて、パタパタさせている人もいて、そんなプレゼント企画があったことを思い出す。


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