TRIO パリ・東京・大阪
モダンアート・コレクション
2024年5月21日〜8月25日
東京国立近代美術館
パリ市立近代美術館
東京国立近代美術館
大阪中之島美術館
その3館が所蔵するコレクション(20世紀初頭から現代まで)から、共通点のある作品でトリオを組んで展示する展覧会。
トリオは、全34組。
割とゆるめの共通点による組合せで、固いことを考えずに楽しめる感じ。
その「TRIO」展が7月9日より後期入りし、一部の作品が展示替えとなったことを受け、再訪する。
以下、後期展示替えトリオ3選。
15 モデルたちのパワー
【5/21〜7/21、8/9〜8/25】
【7/23〜8/8】
前後期での展示替えではなく、重要文化財指定の萬鉄五郎《裸体美人》は、重要文化財であるが故だろうか、作品保護のため展示を一時休止する。
休止期間中は、同じく萬鉄五郎の裸体画が展示される。
萬鉄五郎
《裸婦(ほお杖の人)》
1926年、東京国立近代美術館
東京美術学校の卒業制作であった《裸体美人》から14年後の制作。その翌年に41歳で病死していることから最晩年の作となるが、その作品も強烈なパワー。
本展における萬鉄五郎作品の出品は、もう1点、《もたれて立つ人》1917年、東京国立近代美術館がある。
(21 分解された体)
8 近代都市のアレゴリー
【前期】
【後期】
池田遙邨《戦後の大阪》から、前田藤四郎の版画3点に展示替え。
前田藤四郎(1904-90)は、昭和初期より大阪を拠点に活動し、「大大阪」のモダンさや活気を体現する斬新な作品を生み出した版画家。
シュルレアリスム的な表現による版画は、本年(2024年)の板橋区立美術館「シュルレアリスムと日本」展でも、本展出品作とは別作品だが同じく大阪中之島美術館所蔵作品が、古賀春江の作品《鳥籠》(アーティゾン美術館)と並んで展示されていた。
前田藤四郎
《屋上運動》
1931年、大阪中之島美術館
前田藤四郎
《ベンチレーターと子供》
1931年頃、大阪中之島美術館
20 人物とコンポジション
【前期】
【後期】
小倉遊亀《浴女 その一》から《浴女 その二》に展示替え。
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岡本更園《西鶴のお夏》から、北野恒富《淀君》に展示替え。
このトリオ結成の発端は、マリア・ブランシャール《果物籠を持った女性》と、小倉遊亀《浴女 その二》に描かれた床の模様がそっくりということであったらしい。
小倉遊亀
《浴女 その二》
1939年、東京国立近代美術館
常設展示(2階10室)と比べ、至近距離で観れるのは嬉しい。
マリア・ブランシャール
《果物籠を持った女性》
1922年頃、パリ市立近代美術館
ブランシャールは、2023-24年の国立西洋美術館「キュビスム展 美の革命」にて私的に初めて名を認識した女性画家。同展では、第一次世界大戦でフランス人芸術家の多くが前線に送られるなか、非交戦国スペイン出身のピカソやグリス、そしてブランシャールら女性画家は銃後にとどまり、大戦中のキュビスムを担った旨の説明があった。
3選から漏れたトリオでは、「32 ポップとキッチュ」。
アメリカのヘンリー・ダーガーの両面に描かれた作品が表裏替え(撮影不可)。
【前期】
《a)
1 グランデリニオンに捕えられる
2 森林火災に追われるヴィヴィアン・ガールズ
3 天国に感謝できる》
【後期】
《b)洞窟の中の光に照らされたところに誘い込まれる》
1940-50年、パリ市立近代美術館
13年ぶりのヘンリー・ダーガーを楽しく見るが、なぜフランスに縁がなさそうなアメリカ人の作品が選出されたのだろうか。