パリ・オペラ座 - 響き合う芸術の殿堂
2022年11月5日〜2023年2月5日
アーティゾン美術館
ルイ14世によって1669年に設立されたパリ・オペラ座。その350年の歴史をたどる展覧会。
【本展の構成】
序曲:ガルニエ宮の誕生
第1幕:17世紀と18世紀
(1)「偉大なる世紀」の仕掛けと夢幻劇
(2)音楽つきの「雅宴画」(フェート・ギャラント)
(3)新古典主義の美的変革
第2幕:19世紀[1]
(1)ル・ペルティエ劇場
(2)グランド・オペラ
(3)ロマンティック・バレエ
(4)装飾職人と衣装画家
*パリの観劇をめぐって
*作家とオペラ座
*ジャポニスムとオペラ座
第3幕:19世紀[2]
(1)グランド・オペラの刷新
(2)ドガとオペラ座
(3)劇場を描く画家たち
(4)ヴァーグナーの美学
第4幕:20世紀と21世紀
(1)バレエ・リュス
(2)近代芸術とオペラ座
(3)画家・デザイナーと舞台美術
(4)演出家と振付師のオペラ
*映画とミュージカル
エピローグ:オペラ・バスティーユ
私のもっぱらの関心は、第3幕(1)〜(3)のマネ&ドガ作品および同時代の画家による作品にあるが、そのような狭い範囲にとどまらず、オペラ座、オペラ、バレエにかかる多様な展示品がある。
建物関係資料、舞台装置、その下絵、衣装・小道具、関係者の肖像、版画・写真・映像など。
例えば、ヴェルディ『ドン・カルロス』などの作曲家の自筆譜や、プルースト『失われた時を求めて、ゲルマントのほう』の自筆稿などもある。
そんな総合的なオペラ座の展覧会でありながら、普通に西洋絵画を見る展覧会としても、非常に楽しめてしまうところが凄い。
本展では、一部の展示品の撮影可。
アーティゾン美術館所蔵品は撮影可、展示品の多くを占めるフランスからの展示品は撮影不可、それ以外の国内および国外からの展示品はごく一部のみ撮影可、という感じである。
以下、撮影可能作品の一部の画像を掲載する。
序曲:ガルニエ宮の誕生
レオン&レヴィ・スタジオ
《オペラ座、ガルニエ宮広場、パリ》
1880-90年頃、アーティゾン美術館
第1幕:17世紀と18世紀
(2)音楽つきの「雅宴画」(フェート・ギャラント)
ヴァトー
《見晴らし(ピエール・クロザ公園の林越しの眺望)》
1715年頃、ボストン美術館
第2幕:19世紀[1]
(3)ロマンティック・バレエ
アルフレッド・エドワード・シャロン
《『パ・ド・カトル』を踊るカルロッタ・グリジ、マリー・タリオーニ、ルシル・グラーン、ファニー・チェリート》
1845年、兵庫県立芸術文化センター、薄井憲二バレエ・コレクション
*パリの観劇をめぐって
ドーミエ
《観劇》
1856-60年頃、国立西洋美術館
ポール・カヴァルニ
《舞台裏で話し込む踊り子と紳士》
19世紀、兵庫県立芸術文化センター、薄井憲二バレエ・コレクション
アンリ・ド・モントー
《オペラ座のフォワイエ》
19世紀、兵庫県立芸術文化センター、薄井憲二バレエ・コレクション
5階フロアへ。
第3幕:19世紀[2]
(2)ドガとオペラ座
ドガ
《舞台袖の3人の踊り子》
1880-85年頃、国立西洋美術館
第3幕:19世紀[2]
(3)劇場を描く画家たち
マネ
《オペラ座の仮面舞踏会》
1873年、ワシントン・ナショナル・ギャラリー
撮影不可の絵画では、次の作品をおもしろく見る。
ブーシェ
《優雅な羊飼い》
1738年、フランス国立公文書館
ユベール・ロベール
《パレ・ロワイヤルの庭園からみたオペラ座の火事、1781年6月8日》
1781年頃、カルナヴァレ美術館、パリ
レオン・ボナ
《サランボーを演じるローズ・キャロン》
1897年、フランス国立図書館
エドゥアール・マネ
《ハムレット役のフォールの肖像》
1877年、ハンブルク美術館
エドゥアール・マネ
《ハムレット役のフォールの肖像》
1877年、フォルクヴァング美術館
エドガー・ドガ
《バレエの授業》
1874年、オルセー美術館
エドガー・ドガ
《衣装をつけたバレエの踊り子のための裸体習作》ブロンズ像
1921-31年鋳造、オルセー美術館
エドガー・ドガ
《赤い衣装をつけた三人の踊り子》
1896年、大原美術館
ウジェーヌ・ジロー
《オペラ座の舞踏会》
1866年、カルナヴァレ美術館、パリ
アンリ・ジェルヴェクス
《オペラ座の仮面舞踏会》
1886年、オルセー美術館
ジャン・ベロー
《オペラ座の舞台裏》
1889年、カルナヴァレ美術館、パリ
ルノワール
《リヒャルト・ヴァーグナーの肖像》
1893年、フランス国立図書館
ピエール・ボナール
《桟敷席》
1908年、オルセー美術館
私的には、西洋絵画の展覧会、言い直すと、マネ&ドガ作品の展覧会として楽しんでいる。