ポンペイ
2022年1月14日〜4月3日
東京国立博物館
ポンペイ展の「決定版」が登場。
なんと、展示室内、全ての展示品の写真撮影が可能!
そこで、ポンペイ展の画像シリーズその2。
モザイク画7選。
所蔵はすべてナポリ国立考古学博物館。
【その1】
家の玄関に敷かれた床モザイク。
赤い首輪を付けた黒い犬の絵により、訪問者に番犬がいることを注意喚起する。
《猛犬注意》
1世紀、ポンペイ出土
他にも同じような事例があり、本展にてその一部を再現される「悲劇詩人の家」にも「猛犬注意」がある。
【その2】
死を象徴する髑髏。
左には、権力と富を表す笏と紫のマント。
右には、不幸を示す貧者の持ち物。
《テーブル天板(通称「メメント・モリ」)》
前1世紀、ポンペイ、皮なめし工房、列柱廊の夏用トリクリニウム出土
キリスト教が誕生する前のローマ社会の「メメント・モリ(死を忘るなかれ)」は、キリスト教下の意味合いとは異なり、翻って「今を楽しもう」という気風を表していたという。
【その3】
本展のメインビジュアルとして使用。
《辻音楽師》
前1世紀、ポンペイ、「キケロ荘」、エクセドラ出土
喜劇の仮面をかぶり、楽器を演奏する小さな楽団が、ある家を訪問している場面。
前300年頃のアッティカ新喜劇の一場面を描いたとされる。ギリシア人のモザイク作者ディオスクリデスの署名がある(↓かな)。
【ファウヌスの家】
本展の最大の見どころの一つ、「ファウヌスの家」の再現展示。
高精細映像により紹介されるのは、「アレクサンドロス大王のモザイク」(本展には出品されない)。
「ファウヌスの家」は、ポンペイの最大の邸宅で、前2世紀末から前1世紀初頭の改築から大きな手は加わっておらず、ローマ化以前のポンペイの豊かさを現代に伝えている。立派な玄関を入ると、トスカナ式アトリウムが続く。壁面の多くはストゥッコ(化粧漆喰)で装飾され、いくつもの部屋の床が、オプス・ウェルミクラトゥムと呼ばれるヘレニズム美術の粋を集めた細密技法のモザイクで飾られていた。中でも「アレクサンドロス大王のモザイク」が有名である。(会場内解説より)
「ファウヌスの家」説明パネル
以下4点は、「ファウヌスの家」出土の床モザイク。
【その4】
「アレクサンドロス大王のモザイク」(床モザイク)が描かれたエクセドラ(談話室)の入口部分の中央の床を飾った床モザイク。
《ナイル川風景》
前2世紀、ポンペイ、「ファウヌスの家」、エクセドラの敷居、中央の柱間出土
ナイル川の景観と動植物を描く。
アレクサンドロス大王のエジプト遠征を想起させる効果があったと考えられている。
【その5】
「ファウヌスの家」のアラ(翼室)を飾った床モザイク。
《ネコとカモ》
前1世紀、ポンペイ、「ファウヌスの家」、アラ出土
上段は、ヤマウズラを捕らえた瞬間のネコ。
下段は、カモの番と魚介類。食用か。
【その6】
「ファウヌスの家」のトリクリニウム(食堂)を飾った床モザイク。
《イセエビとタコの戦い》
前2世紀末、ポンペイ、「ファウヌスの家」、トリクリニウム出土
プトレマイオス朝エジプトの自然主義の影響を受けて生み出された、当時好まれた主題。裕福な市民はエビ・タコその他の魚介類を好んで食したということであるらしい。
【その7】
「ファウヌスの家」の入口に配された床モザイク。
《葉綱と悲劇の仮面》
前2世紀末、ポンペイ、「ファウヌスの家」、ファウケス、敷居出土
画面いっぱいに詰まった果実と植物はその家の豊かさを、ギリシア悲劇の仮面は家の主が文化人であることを、来訪者に感じさせる仕掛けであるらしい。
ポンペイのモザイク画の素晴らしさを認識する。
ナポリに大昔一度行ったことがあるが、その際ナポリ国立考古学博物館に行かなかったことを残念に思う。
現代のイラストレーションとしてアピールできます。きっと人気が出ることでしょう。
コメントありがとうございます。
本展によりポンペイのモザイク画の魅力をようやく認識することができました。悲劇の仮面も面白いですよね。
いつの日か、ナポリ国立考古学博物館に行って、「アレクサンドロス大王のモザイク」を始めとするたくさんのモザイク画を見てみたいものです。