ポンペイ
2022年1月14日〜4月3日
東京国立博物館
過去何度も開催されている「ポンペイ展」。
ついに「決定版」が登場。
なんと、展示室内、全ての展示品の写真撮影が可能!
【参考】過去のポンペイ展(首都圏開催、確認できた範囲)
日伊国交樹立150周年記念
世界遺産 ポンペイの壁画展
2016年4月29日~7月3日
森アーツセンターギャラリー
ポンペイ展
世界遺産 古代ローマ文明の奇跡
2010年3月20日〜6月13日
横浜美術館
国立西洋美術館開館50周年記念事業
古代ローマ帝国の遺産―栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ
2009年9月19日~12月13日
国立西洋美術館
ポンペイの輝き 古代ローマ都市 最後の日
2006年4月28日〜6月25日
Bunkamuraザ・ミュージアム
世界遺産/ポンペイ展
古代ローマ文明の輝き/ポンペイとポンペイに暮らす人びと
2001年8月7日〜10月28日
江戸東京博物館
ポンペイの壁画展
2000年の眠りから甦る古代ローマの美
1997年4月12日〜6月15日
横浜美術館
ポンペイ古代美術展
1967年4月8日〜5月28日
国立西洋美術館
【ポンペイ展2022の構成】
序章 ヴェスヴィオ山噴火とポンペイ埋没
1章 ポンペイの街-公共建築と宗教
2章 ポンペイの社会と人々の活躍
3章 人々の暮らし-食と仕事
4章 ポンペイ繁栄の歴史
5章 発掘のいま、むかし
以下、妙に気になる展示品7選。
所蔵はすべてナポリ国立考古学博物館。
【その1】
出品番号1は、ポンペイ埋没の悲劇を直接的に伝える、生き埋めになった市民の最期の姿。
《女性犠牲者の石膏像》
79年/1875年、ポンペイ出土
火山灰の中で遺体は朽ちてなくなり、冷えて固まった火山灰層には遺体の形をそのまま写した空洞ができる。この空洞に石膏を流し込むことで、遺体の姿が再現される。
像のなかには骨や歯が含まれることもあり、像のCTスキャンにより犠牲者の属性を推測する研究も行われているようだ。
角度を変えて。
【その2】
現代アートのオブジェに見えないこともない。
《遺物が固まりになったもの》
79年、ポンペイ出土
展示品名称は、考古学らしく直截的。
【その3】
ポンペイ出土の彫刻像が並ぶコーナー。
右から2番目は、土台だけが置かれ、その上にあるはずの彫刻像がない。
展覧会運営上の何らかの事情が発生したのかと思ったら。
《日時計》
1世紀、ポンペイ出土
土台ではなくて、展示品そのもの。
かつては中央の窪みに垂直の指針が立っていて、その影の先端の位置を読み取ることで、大まかな時刻を読み取る。季節に応じた7本の曲線が刻まれている。
【その4】
現代アートの抽象画と言われたら信じそう。
《賃貸広告文》
62〜79年
ポンペイ、「ユリア・フェリクスの家」出土、アッポンダンツァ通りに面する北側の外壁
火山噴火によるポンペイ埋没は紀元79年のことだが、その17年前、紀元62年にヨーロッパ地震史に残る大地震が起こり、震央に位置するポンペイは甚大な被害を被る。復興途上というところで、火山噴火を迎えたこととなる。
本品は、建物の外壁に書かれた賃貸広告。
家主のユリア・フェリクスという名の女性は、おそらく出自は高くないが、事業家として活躍したらしい。大地震を機に、広い庭をもつ邸宅を手に入れ、改装し、その一部を賃貸に出した。
次のとおり書かれているらしい。
「スプリウス・フェリクスの娘ユリアの屋敷では、品行方正な人々のための優雅な浴室、店舗、中2階、2階部屋を、来る8月13日から6年目の8月13日まで、5年間貸し出します。S.Q.D.L.E.N.C.」(「期間満了になれば、賃貸契約や自動更新されます」、もしくは「ご希望の場合は家主にご連絡ください」)。
【その5】
18世紀イタリアの画家・ピラネージも見た。
《奴隷の拘束具》
1世紀、ポンペイ、大劇場の回廊出土
1770年にポンペイを訪れた際に、1766年に出土したこの拘束具を目にしたのだろう、「砦の牢獄」と題された素描がのこされる。
ピラネージに基づく拘束具の使用想像図では、一つの拘束具に、片足だけ固定してもう片足と両手は自由な人間を何人もつなぐ。ハズレな気もする。
【その6】
蚊取り線香のブタ形の蚊遣り器を思い出す。
《仔ブタ形の錘》
1世紀、ポンペイ出土、ブロンズとナマリ
重り。食材としてのブタかなあ。
当時の食べ物もその姿を残す。
《炭化したキビ》
《炭化したイチジク》
《炭化した干しブドウ》
《炭化したパン》
79年、ポンペイ出土
背後には、食べ物に関係するフレスコ画3点、右から《雄鶏とカボチャ》、《パン屋の店先》、《パンのある静物》が並ぶ。
参考記載のポンペイ展を皆勤(除く1967年)している私。毎度、いまひとつ楽しめず、不得意感があった(それでも毎度行っている)のだが、写真撮影可能だと、こんなにも楽しめるとは!
(続く(予定))
ポスターやガイドブックにない、オリジナリティのある見方を見つけてやろうと、角度や拡大などが楽しめます。
コメントありがとうございます。
近年では撮影可能な展覧会も増えてきましたが、これほど撮影していて楽しい展覧会は久々です(私的には、ルート・ブリュック展以来)。
撮影マナーには注意していきたいところです。