江戸妖怪大図鑑
第1部(化け物)2014年7月1日~7月27日
第2部(幽霊) 2014年8月1日~8月26日
第3部(妖術使い)2014年8月30日~9月25日
太田記念美術館
盛夏、妖怪・幽霊画巡りを敢行。
まずは、太田記念美術館の「江戸妖怪大図鑑」展。
「化け物」「幽霊」「妖術使い」と、約4週間ずつの完全入替3部構成。
「第1部・化け物」の最終日に駆け込み訪問。
入場制限はないが、大層な人出。
1階・2階に全88点の展示。列について次の作品に進むのをおとなしく待つ形となり、ひととおり見るのに90分超を要する。
その分、私らしからぬことだが、一つ一つの作品をじっくり眺める。
閉館時刻まであと15分で、2巡目鑑賞開始。ほぼ人がおらず、きっちり15分で2巡目完了する。
展示の中心は、想像どおり歌川国芳と月岡芳年。88点中40点と半分近くを占める。
両名やその同時代の絵師が中心だが、面白いのは、前の時代の絵師の作品も並べられていること。
例えば、同一の妖怪について並べられた5~6点のなかに、菱川師宣や18世紀の絵師の作品が並ぶ妖怪もあって、妖怪画を通じて浮世絵の発展史を知る、という面もあり、興味深い。
当館所蔵のみならず、東博や国立歴史民族博物館蔵、個人蔵の作品も多く展示される。
その翌週、始まったばかりの「第2部・幽霊」を訪問。
今回も大変な人出だろう、と覚悟していたら、そうでもない。
3部構成でも、部ごとに、初盤は人が少なめ、終盤に向けて混んでいくサイクルは健在であるらしい。
1階・2階に全93点の展示。ひととおり見るのに、前回の半分、45分程度で済む。
幽霊画の多くが役者絵、一部が武者絵。
歌舞伎で幽霊物が評判になったことから、浮世絵で取り上げられたという背景があるらしい。
歌舞伎で幽霊物が評判となったのは1800年になってからなので、展示される浮世絵も1800年以降のものとなる。
役者絵・武者絵ではない、幽霊の浮世絵が登場するのは、明治の世になってから。
第1部・化け物と異なり、浮世絵の発展史を知る、という面は薄くなり、お岩やお菊、小平次等、個々の幽霊を楽しむ形が中心となる。
展示は、やはり歌川国芳と月岡芳年が中心。93点中41点と4割強。
そのなかで、光っているのは、北斎の≪百物語≫。
百物語といいつつ、5点しか製作されなかったらしいが、その全5点が1階の畳部屋に並ぶ。
提灯に乗り移ったお岩、皿でできた長い首のお菊、蚊帳を覗き込む骸骨化した小平次等、たいした迫力。
それ以外では、歌川豊国の小平次や、歌川国芳の浅倉当吾亡霊などが印象に残る。いっぱい描き込まれるより、絞られている作品が好みかなあ。
当館所蔵のみならず、早稲田大学演劇博物館や国立歴史民族博物館蔵、個人蔵の作品も多く展示される(北斎≪百物語≫は、中外産業・原安三郎コレクション)。
第1部の最終日、美術館に向かう途中、突然の豪雨にあう。