「日経TRENDY」2022年1月号臨時増刊『日経おとなのOFF 2022年絶対に見逃せない美術展』および「芸術新潮」2021年12月号の特集『これだけは見ておきたい2022年美術展』を眺める。
楽しみな展覧会が多数掲載されている。
そのなかから、出品作に焦点をあて、特に楽しみな出品作を挙げてみたい。
私の好みから西洋美術に限定し、5選。
まずは、フェルメール。
2005年以来17年ぶり3度目の来日。
修復後のキューピッドの画中画が現れた姿では、所蔵館のお披露目展に続く、世界で2番目の公開。
1)フェルメール
《窓辺で手紙を読む女》
1657-59年頃、83×64.5cm
ドレスデン国立古典絵画館
ドレスデン国立古典絵画館所蔵
フェルメールと17世紀オランダ絵画展
2022年1月22日〜4月3日
東京都美術館
*札幌、大阪、宮城に巡回
所蔵館であるドレスデン国立古典絵画館では、修復後の本作のお披露目展として、本作のほかドイツ4、オランダ2、英国1、米国2点と、計10点を集めた大フェルメール展を2021/9/10〜2022/1/2に開催することとしていた。
開催した、と言いたいところだが、このご時世により会期途中(11/22?)から臨時休館(〜1/9)となったようだ。会期当初の時間指定チケットの販売数は1時間あたり60人分としていた(その後72人分となった模様)ので、見た人は限られただろう。日本が先となってしまい申し訳ない。しかし、日本の今後の状況も安泰というわけではない。
ベラスケス20歳前の初期作品が来日。
2)ベラスケス
《卵を料理する老女》
1618年、100.5×119.5cm
スコットランド国立美術館
スコットランド国立美術館
THE GREATS 美の巨匠たち
2022年4月22日〜7月3日
東京都美術館
*神戸、北九州に巡回。
故郷セビーリャで修業を終えて独立したばかりのころに制作した、貴重な厨房画の代表作の一つ。
同展の出品作では、ラファエロの素描やレンブラント、エルスハイマーなども楽しみ。
1990年の準備室設置から30年超、2022年2月に新規オープンする大阪中之島美術館の開館記念展から。
3)モディリアーニ
《座る裸婦》
1917年、114.5×71.5cm
アントワープ王立美術館
モディリアーニ
愛と創作に捧げた35年
2022年4月9日〜7月18日
大阪中之島美術館
本作のモデルは、1989年に大阪市が19億円で購入し本美術館の所蔵となる《髪をほどいた横たわる裸婦》と同一の女性とされている。本展ではおそらく隣合せ展示となるのだろう。
本展は、本作を含め、海外からどの程度作品を集められるのか、注目しているところ。
2020年10月から工事により長期休館中の国立西洋美術館は、2022年4月にリニューアルオープン。その記念企画展から。
4)ゴッホ
《刈り入れ》
1889年、59.5×72.5cm
フォルクヴァング美術館
国立西洋美術館リニューアルオープン記念
自然と人のダイアローグ
2022年6月4日〜9月11日
国立西洋美術館
ドイツ・エッセンのフォルクヴァング美術館との共同研究・共同開催、相互の所蔵品による二部制の展覧会。第一部はフォルクヴァング美術館で開催。第二部が国立西洋美術館で開催される本展。初見(おそらく)のゴッホも楽しみだが、他に何が出品されるのか楽しみにしているところ。
2年前の拙記事「2020年の展覧会、楽しみな出品作5選」にも挙げた作品、延期後の会期が2022年秋に決定。
5)アンディ・ウォーホル
《ツナ缶の惨事》
1963年、
アンディ・ウォーホル美術館
アンディ・ウォーホル・キョウト
2020年9月19日〜21年1月3日
→ 2022年9月17日〜23年2月12日
京都市京セラ美術館
「死の惨禍」シリーズの一つ。
ボツリヌス菌が混入したA&P社の「チャンク・ライト・ツナ」缶を食べて2人の主婦が死亡した事件にかかる、1963年4月1日号のNewsweek誌の記事と写真(捜査当局に押収されたツナ缶の写真、犠牲となった主婦2人の写真)を基にしたもの。ウォーホルは、記事の全体を転写する、ツナ缶と主婦の写真を転写する、ツナ缶の写真のみを転写する、など組み合わせを変えてシリーズとしている。
本展出品作は、ツナ缶の写真のみを7回転写した作品。
メトロポリタン美術館展は、大阪で一度観ているので、選の対象外としたが、対象とするならば、5選は全てメトロポリタン美術館展からとなってしまいかねないほど、名品多数の全65点。国立新美術館での再鑑賞が楽しみ。
メトロポリタン美術館展
西洋絵画の500年
2022年2月9日〜5月30日
国立新美術館
*大阪から巡回。
2022年は、西洋美術展もだいぶ本格化してくるような印象があり、今後も新たに発表される展覧会もあるだろう。
これらが予定どおり開催できますように。
全世界的に感染状況が落ち着き、気兼ねなく美術鑑賞ができる日が早く訪れますように。
今年は春に東京で「メトロポリタン美術館展」と「スコットランド国立美術館展」を梯子するのが、一番の楽しみになりそうです。
「スコットランド国立美術館展」では、何と言っても、ベラスケス《卵を料理する老婆》が最大の楽しみです。
他にも、K様も挙げられたエルスハイマーの作品は「残酷美術史」という本で図版を見て以来、とても気になっていたので実見できるのは嬉しいです。
また、ボルドーネ《化粧をするヴェネツィア女性たち》と、フレデリック・エドウィン・チャーチ《アメリカ側から見たナイアガラの滝》にも期待しています。
心配なのは新型コロナ第6波ですね。
各地で予定されている全ての展覧会が予定通りに開催されるよう願いたいです。
これからもK様のブログを楽しみにしております。
コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、第6波が心配です。
私的には、先ずは、16日後に開幕予定で、明日1/7から日時指定チケットの販売が開始される「東京都美術館」の「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」が、無事に開幕できるか? 行く気になれるような状況にあるか? です。
今後ともよろしくお願いいたします。
https://www.tobikan.jp/exhibition/2021_dresden.html
今のコロナの状況から見て、2/9からのメトロポリタン美術館展がどうなるかが心配です。大阪に行ってしまった人がラッキーだった、なんてことにならないことを祈っています。(ドレスデンへは5年ぐらい前に行って、修復前のキューピッドが隠れていた時に見ているので、このフェルメール展は行く予定ではなかったのですが、いよいよ心配していたことが現実になってきたようです。)
コメントありがとうございます。
重要な情報をお教えいただきありがとうございます。
今日は、明日からのチケット販売開始に向けて事前準備していたのですが、その時には気付きませんでした。公式Twitterには18時にツイートされていたようですね。日本の状況というよりも、所蔵館の状況(臨時休館継続中)が要因ではないかと思われますので、仕方ありません。フェルメール展は万が一東京が駄目でも、大阪や宮城に来てくれれば追っかけることも可能ですし。
問題はむろさんさんがおっしゃるとおり、メトロポリタン美術館展ですね。こちらは日本(東京)の状況次第。コロナが早くピークアウトすることを祈るばかりです(今のうちに大阪に行くのはさすがに難しいです)。