生誕120年 東郷青児展
抒情と美のひみつ
2017年9月16日〜11月12日
損保ジャパン日本興亜美術館
東郷青児(1897-1978)といえば、
・損保ジャパン日本興亜美術館の収蔵作品展示コーナーにいつも数点ある「甘美な女性像」
・日本近代美術の展覧会で時々みかける、ヨーロッパの前衛芸術の影響を受けた20歳前後の作品
私の好みではなさそうだが、全貌を知らないし、なんといってもその名を冠した美術館が存在する。その美術館での回顧展の開催を知り、モヤモヤを解消したく、さっさと行ってみる。
展示室に入る前の、解説パネルから。
「東郷様式」とは。
当時の評論家が評したところによると、
・誰にでも分かる大衆性
・モダーンでロマンティックで優美、華麗な感覚と詩情
・油絵の表現技術に見られる職人的な完璧さと装飾性
うまく言うものだ。
約60点の作品と約40点の資料が展示される。キャパから見て少なめなのだろう、展示室内はえらくゆったり感がある。そしてサクサク見れる。
出品番号1、1915年、18歳頃制作の《コントラバスを弾く》や出品番号2、その翌年の《パラソルさせる女》、出品番号3、その翌年の《彼女のすべて》。早熟。
1921年から7年間ヨーロッパに留学。イタリアの未来派展にも出品したことがあるのか。フランスでは、藤田嗣治のみならず、ピカソとも交流があったのか。本当か?
ここで、最初の展示室で、私的には終了。
以降女性像が続く。出品数を絞りたくなるのも分かる。
もう一つあげると。
損保ジャパン日本興亜の前身である東京火災は、関東大震災や金融恐慌を切り抜けるために、組織・事務の合理化に取り組んでいたが、その一環として印刷物の刷新があり、昭和9年に東郷をデザイン顧問として迎えた。そして、毎年のように二科会出品作品を購入し、顧客用カレンダーに掲載した、とのこと。
でも、顧客用カレンダーの展示はない。営業案内の小さな紙1点だけかな、東京火災関係の資料展示は。
印象に残るのは、唯一の東郷以外の展示作品。
藤田嗣治《海の幸》
1936年、旧京都丸物六階大食堂壁画
隣に東郷の競作《山の幸》が展示されていて、その違いに感心する。
回顧展にさっさと行ってよかった。すっきりした。私の好みではない。