東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

ラッザロ・バスティアーニとスクオーラ

2016年08月16日 | ヴェネツィア派

日伊国交樹立150周年特別展
アカデミア美術館所蔵 
ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち
2016年7月13日~10月10日
国立新美術館

 

   本展で初めて名を知るラッザロ・バスティアーニ。
   生没年は不明だが、1449-1512年にヴェネツィアで活動した記録があり、1429-35年生のジェンティーレ・ベリーニや1430-40年生のジョヴァンニ・ベリーニとほぼ同年代となる。過去にはカルパッチョ(1465年頃生)の師と推測されていたこともある。


   本展への出品作は、ヴェネツィアのサン・ジローラモ同信会のために制作された聖ヒエロニムスを主題とする2作品のうちの1点。


《聖ヒエロニムスの葬儀》(←本展出品作)
1470-80年
211×264cm
ヴェネツィア、アカデミア美術館

 

   18人の登場人物がいるが、その身長が2種類しかない。16人が同じ背の高さ、それより低い残り2人が同じ背の低さ。それが不自然。その不自然さが、画面の雰囲気と合わせ、妙に印象的。第1章の作品のなかでは、ベリーニ作品に次ぐお気に入りである。

 

《聖ヒエロニムスの最後の聖体拝領》
1470-80年
193×241cm
ヴェネツィア、アカデミア美術館


   もう1点の作品。左の登場人物は《葬儀》と同じかな。

 


   ラッザロ・バスティアーニは、当時ヴェネツィアを代表する画家の一人であったらしい。

   16世紀のヴェネツィアにおける六つの大規模な同信会の一つスクオーラ・グランデ・ディ・サン・ジォヴァンニ・エヴァンジェリスタ(福音書記者聖ヨハネ大同信会)のために、1496年から1501年にかけて、ピエトロ・ペルジーノとヴェネツィアの画家5人により制作された《聖十字架の遺物》連作9点。

   ラッザロ・バスティアーニも、ヴェネツィアの画家の一人として、1点制作を担当している。

《聖十字架の遺物の寄進》
1496年頃
318×438cm
ヴェネツィア、アカデミア美術館

 

 

 

   ラッザロ・バスティアーニは初めて名を知る画家であるが、改めて確認すると、確認できた範囲でも、近年その作品が複数来日していた。

 

《総督フランチェスコ・フォスカリの肖像 》
ヴェネツィア、コッレール美術館

   ヴェネツィアの元首(ドージェ)を1423-57年の間つとめる。34年の在任期間は、ヴェネツィアのドージェのなかで最長記録だという。
   本作は、2011-12年に6都市を巡回した「世界遺産 ヴェネツィア展」にて、(多分)仙台会場のみの出品。つまり私は見ていない。ただ、同展では他にもラッザロ・バスティアーニ名(帰属を含む)の作品が出品されていたようだ。

 


《聖母子・奏楽の天使、聖三位一体》
1463-70年頃
ミラノ、ポルディ・ペッツォーリ美術館 

   2014年、東京と大阪を巡回した「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション」展で来日。

   天使たちや、聖母の豪華な服装や、画面上部の果物など、華やかに見える作品。だが、私の印象に残るには至らなかったようだ。



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