大妖怪展
土偶から妖怪ウォッチまで
2016年7月5日~8月28日
江戸東京博物館
8/2から開始の後期を訪問。週末の15:30頃に到着。
チケット売り場の行列は、20分待ちの表示。入場待ち時間はゼロ。展示室内は混雑していて、作品鑑賞のためには列に並ぶ必要がある状況。
会期初めの訪問時と比べ、混雑度が増したかというとそうでもなく、同じ程度か。
後期出品のほぼ全作品が、前期から入替または巻替となっている。
後期の目玉作品は、
No.97 伝土佐光信 重文《百鬼夜行絵巻》真珠庵(後期)
室町時代(16世紀)制作の、現存最古の百鬼夜行図。
巻頭部分が展示。
青鬼、赤鬼から始まり、白被衣、鰐口、払子、犀、靴、琴、琵琶。鳥兜、扇子、如意、黒被衣まで。
さすが重文。他の出品絵巻とは描線が違う、と感心する。
前期から巻替となった作品。
No.11 白隠慧鶴《法具変妖之図》京都・金臺寺(全期間、後期巻替)
1万点以上制作したという禅画で知られる白隠が、《百鬼夜行絵巻》真珠庵本に出てくる妖怪たちを描いた作品。
白隠っぽい描線が魅力的。
No.13 《稲生物怪録絵巻》1859-60、個人蔵(三次市教育委員会寄託)(前期に上巻・中巻、後期に下巻)
備後三次藩の藩士の稲生武太夫が、1749年7月の1ヶ月間に体験したという妖怪怪異談。肝試しにより妖怪の怒りをかった平太郎の屋敷にさまざまな化け物が30日間連続出没するが、平太郎はこれをことごとく退けるというもの。
公開場面では、巨大な頭と一本の長く太い手だけからなる女性の化け物が目立つ。平太郎は、さすが下巻・21日目以降、全く動ぜず。場慣れし過ぎ。
No.17 茨木元行《針聞書》九州国立博物館(全期間、3回巻替)
1568年、戦国時代に書かれた医学書。第3部「体の中にいる虫の図とその治療法」の虫の図(63図あるらしい)が対象。書籍なので止むを得ないが、1回の展示は見開き2図、3回の巻替えにより計8図が公開。
2回目の巻替後の今回、背骨にかぶりつくという「肝虫」と、腹の中に生じる五色の虫でこの中からさらに凶悪な虫が生まれるという「九虫」が公開。
No.18 南山《姫国山海録》東北大学附属図書館(全期間、3回巻替)
1762年に制作された、日本各地の怪しげな獣や虫が記載された書籍。これも書籍なので、1回の展示は見開き2図、3回の巻替えにより計8図が公開。
2回目の巻替後の今回は、松前と鎌倉・建長寺と、ローカル虫。
後期からの登場作品。
No.28 駒井源琦《釣灯籠を持つ骸骨》金性寺(後期)
幽霊画は、前後期各8点の展示で、1点を除いて入替。東京谷中・全生庵所蔵作が3点から1点に減り(←8月は恒例の谷中圓朝まつりの幽霊画展があるためか)、福島県南相馬市・金性寺所蔵作が3点から5点に増える。
印象的なのは、ちょっと気取ったポーズの骸骨殿。
No.114 《沙門地獄草子断簡-解身地獄》MIHO MUSEUM(8/2〜8/15)
もとは全7段からなる一つの絵巻だったところ、例の益田鈍翁が例の切断を行い、今は諸家分蔵の状態の本作。
奈良博所蔵の《沸屎地獄》に続き、《解身地獄》が登場。人が生で切断されて焼肉にされる。順番待ちの人たちは灰色の肌。8/16からは五島美術館所蔵《火象地獄》が登場。
余裕があれば、一部出品作の巻替・入替が行われる8/16以降に再訪したいところ。金・土曜日の21時までの夜間開館時間帯が狙い目か。
本展の構成
【訪問時の出品点数←前期からの入替等の状況】
1章 江戸の妖怪大行進!
A.これが江戸の妖怪だ!
【3点←全点新規】
B.物語になった妖怪たち
【6点←2点新規、4点巻替】
C.妖怪大図鑑
【6点←3点新規、3点巻替】
D.幽霊画の世界
【8点←7点新規、1点継続】
E.錦絵の妖怪
【18点←13点新規、2点巻替、3点継続】
F.版本の妖怪
【12点←10点巻替、2点継続】
2章 中世にうごめく妖怪
【9点←5点新規、3点巻替、1点継続】
3章 妖怪の源流 地獄・もののけ
A.地獄にうごめくものたち
【7点←2点新規、5点巻替】
B.縄文人の不安の造形化
【4点←全点継続】
4章 妖怪転生【妖怪ウォッチ】
お気に入り作品としては前期のほうが多く出品され - 福岡市博物館の佐脇嵩之《百怪図巻》や《怪奇談絵詞》、奈良博の国宝《辟邪絵-神虫》、東博の重文《土蜘蛛草子絵巻》など - 、後期はやや寂しい感もあったが、それを吹き飛ばす真珠庵の重文《百鬼夜行絵巻》の魅力、というところか。